民間船との水上衝突
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 09:16 UTC 版)
軍艦の衝突相手が民間船であった場合、往々にして責任の所在や補償交渉などで世間を騒がせることになる。 代表的な事例 千島(日本・通報艦) - 1892年11月30日、死者74名愛媛県興居島北方の釣島海峡で未明、反航する英P&O社の貨物船「ラヴェンナ」に衝突され沈没。生存者16名(千島艦事件)。 日本政府はイギリスで損害賠償訴訟を起こし、P&O社は解決金を支払い和解。本艦喪失の保険金により代艦として「龍田」が建造された。 キュラソー(イギリス・軽巡洋艦)とクイーン・メリー(イギリス・客船) - 1942年10月2日、死者239名アイルランド島ドニゴール県沖を船団護送中、対潜警戒のジグザグ行動をとった「クイーン・メリー」が「キュラソー」の側面に衝突し、「キュラソー」は船体を切断され沈没。生存者99名。 イギリス政府は「クイーン・メリー」船主のキュナード・ホワイト・スター社(現・キュナード・ライン)を相手取り損害賠償訴訟を起こすも敗訴。 てるづき(日本・護衛艦) - 1963年3月30日、死者5名浦賀水道航路を未明に通航中、右舷後部に貨物船「賀茂春丸」が追突。 アーサー・W・ラドフォード(アメリカ・駆逐艦) - 1999年2月5日バージニア州沖で夜間、浮標に繋泊中にサウジアラビアの貨物船「サウジ・リヤド」と衝突、艦首右舷を中破。 護衛艦あたご漁船清徳丸衝突事件(日本・イージス護衛艦) - 2008年2月19日、死者2名千葉県野島埼南方沖で未明、護衛艦「あたご」と漁船「清徳丸」が衝突、「清徳丸」は船体を切断され沈没。 原因は「あたご」側の監視不十分とされる。 護衛艦くらまコンテナ船カリナ・スター衝突事件(日本・護衛艦)- 2009年10月27日、負傷者6名2009年10月27日19時56分頃関門海峡において護衛艦「くらま」と大韓民国籍コンテナ船「カリナ・スター」が衝突。 この事故で「くらま」側は、艦首から出火し、10時間半後に鎮火に成功したが乗員6名が負傷、アンカー巻上げ部も含む艦首部分がほぼ全壊、全焼し単独航行は難しい状態になった。 なお、「カリナ・スター」側に負傷者はなかった。 おおすみ衝突事故(日本・輸送艦) - 2014年1月15日広島県大竹市阿多田島東方沖で8時頃、輸送艦「おおすみ」とプレジャーボート「とびうお」が衝突、とびうおが転覆し船長と乗客の2名が死亡。 衝突までの1分間に、「とびうお」が「おおすみ」側に航路を変更したことが原因とされる。 フィッツジェラルド(アメリカ・ミサイル駆逐艦)とACX クリスタル(フィリピン・コンテナ船) - 2017年6月17日静岡県賀茂郡南伊豆町沖を航行中にフィリピン船籍コンテナ船ACX クリスタルと衝突。右舷を大きく損傷し浸水。フィッツジェラルドの艦長が負傷し米海軍横須賀基地の海軍病院にヘリコプターで搬送され、同艦乗組員は他に負傷2人、死亡7人。 ヘルゲ・イングスタッド(ノルウェー・イージスフリゲート)と石油タンカー - 2018年11月8日北大西洋条約機構(NATO)主導の軍事演習トライデント・ジャンクチャー(Trident Juncture)から帰還する途中、ベルゲン北部の沿岸でマルタ船籍の石油タンカー「Sola TS」と衝突。同艦は沈没回避のため岩場へ意図的に座礁させたが、何らかの理由で沈没防止用のケーブルが切断された事により水没が進行し上部を残してほぼ水没した。
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