歩道橋の設置
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 01:07 UTC 版)
日本では安全性の観点から横断歩道橋が多く設置されている。日本の歩道橋は、道路から通常470 cm以上空けて建造されている。 歩行者の利用のみを考慮した階段状の物が主であったが、幅の狭いスロープをつけて自転車を押して渡れるようにした物、スロープのみの物もある。現在設置されている横断歩道橋の大部分は交通事故が急増し始めた昭和40年代に建設されたもので、当時は通学途中の児童等の安全確保の為に重宝されたが、道路横断のための負担を通行者に多く強いるものであることから、バリアフリーの精神、交通弱者優先の精神に反する建造物であるともいえる。このため一部ではエスカレーターやエレベーターの設置も行われている。歩行者に負担を強いるため、道路をそのまま横断してしまう人の数が増えているという事例もある。 その他にも、少子高齢化によって児童の数が減少したり、学校の統廃合で横断歩道橋のある道が通学路から外れるなど、児童の交通量が減少したこと、従来技術的にできなかった信号機による細かな制御が可能となったこと、また景観を損ねることなどから、老朽化を機会に撤去する自治体も増えてきている。 茨城県日立市の国道245号にある水木歩道橋・河原子歩道橋は、同市内にある日立製作所で製造された大型の発電機などの輸送の際に障害にならないよう、昇開式可動橋となっている。なお、神奈川県川崎市川崎区の国道132号にある四谷下町歩道橋も同構造だが、既に利用する工場はなく、可動用の設備は撤去されている。 道路法上は、「道路の付属物」として道路の一部という扱いになっており、横断される側の道路の管理者が建設・管理を行う。横断デッキ上に構造物が設置され、周辺施設と一体化している六本木ヒルズ正面の66プラザは例外的な存在である。 地域的に、自動車交通量が多い大都市やその周辺地域に多く設置されていて、都道府県別では東京都、愛知県、神奈川県、埼玉県、大阪府、兵庫県と三大都市圏が設置数の上位を占める。 同様の趣旨で作られたものとして地下横断歩道(地下道)がある。特に日本海側の雪国では路面のすべり防止や吹雪対策のために歩道橋に代えて横断地下道の設置が検討されることがある。実際に、新潟県、富山県、石川県、福井県の4県に設置されている地下横断歩道の合計数は、同県の歩道橋の設置数よりも多く、2.6倍以上にあたる530カ所以上の地下横断歩道が設けられている。 2013年、静岡県榛原郡吉田町に、「歩道橋型の津波避難タワー」2基(道路上では全国初のもの)が完成した。平時は一般的な横断歩道橋として活用されるという。
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