正社員の特徴とその変容
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 14:29 UTC 版)
企業や業界によっては、正規雇用の優位性、差別等の意味でプロパーと表現する場合も多くある。一般的に日本では、正社員としての職歴以外は、労働市場において意味があるキャリアとして評価されないことが多い。 「労働者#日本法による労働者」も参照 日本の大手企業に多く見られる雇用慣行では、労働者をその勤務態様によって、次の3つで区分けし、このうち、直接雇用・無期・フルタイムの3つをすべて満たす労働者を正社員としている。 企業に直接雇用される者であるか、そうでない(間接雇用)者か。 契約期間が無期(期間の定めのない労働契約)であるか、有期(期間の定めのある労働契約)であるか。 各企業の就業規則て定める所定労働時間の上限(フルタイム)まで労働する者か、上限に満たない(パートタイム)者であるか。 日本の雇用慣行では、まず、企業の中核的労働力を長期的に育成し活用する労働者として位置付け、これに「正社員」としての身分を与える。企業がこの正社員を外部から補充する場合には、新卒一括採用を基本とする。もちろん転職者の中途採用も相当数行われているが、人事管理の体系は新卒採用を基本として組み立てられる。この仕組みは、高度経済成長期における労働力の確保と労働者の生活の安定の観点から形作られ、バブル景気全盛期からその崩壊に向かう1990年代前半頃までは堅持され続けて来た。その特徴は次のとおりである。 雇用 終身雇用制度を前提とする。労働者は入社に際し、企業と「期間の定めのない労働契約」を締結し、特段の事情(労働者の著しい非行、企業の存立を危うくするほどの経営危機等)が無い限りは企業は定年までその労働者を雇い続ける。特に、景気変動に対する雇用調整としての解雇は基本的に行わない。一方、企業は労働者に対し日常業務において広範な指揮命令権を持ち、特に幹部候補として採用された労働者は配置転換、出向、転勤など企業内労働市場、企業グループ内労働市場の中での異動があり、原則これを拒否できない(多くの企業の就業規則ではこうした業務命令に対し労働者が正当な理由なく拒否した場合、懲戒に処する旨を規定している)。企業は正社員のキャリアの各段階にわたって系統的にOJTを中心とした教育訓練を行い、競争の過程で最も成功した者を役員に登用する。 処遇 年功序列を基本とした処遇がなされる。労働者の評価は勤続年数が最も重視され、職務遂行能力は二次的な評価にとどまる。 賃金は勤続年数に応じて基本給が上昇していくよう、多くの企業の就業規則でその計算方法が定められていて、上司による恣意的な評価が入り込みにくいようにしている。また上位の役職への登用は勤続年数の長い者から優先的に行う。 日本においては企業別労働組合が組織されていることが多く、組合を有する企業においてはその企業の正社員であることが組合加入の必須要件とされていることが多い。
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