機密レベル分類システム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/17 04:03 UTC 版)
「アメリカ合衆国情報安全保障監督局」の記事における「機密レベル分類システム」の解説
アメリカ合衆国の情報管理は大きく分けて公開 (Unclassfied 非分類)と非公開 (Classified 分類)がある。 最高機密 (Top Secret) セキュリティー レベル3。情報の内容または情報の収集手段が一般公開されると国家安全に絶大な損害を与えるもの。最高機密扱いになる書類は少ない。 極秘 (Secret) セキュリティーレベル2。一般公開されると国家安全に深刻な損害を与えるもの。大部分の資料は極秘扱いになっている。 秘 (Confidential) セキュリティーレベル1。一般公開されると国家安全に損害を与える可能性のあるもの。 の三段階に分類される。非公開情報を閲覧するにはクリアランス(安全証明)が要求される。クリアランスは、それぞれのセキュリティーレベルに見合うだけの身上調査を受けて潔白であることが証明された者にのみ発行される。とくに暗号理論、軍事衛星、諜報活動、核兵器に関わる者については更に厳しい調査が行われる。 もっとも、SECRET(秘密)以上の閲覧権限を持つ人間は、400万人いる。 また、Need to know (必知事項) が設定されることもある。これは「機密情報の管理者がとるべき防衛手段の基準」であり、「Top Secret と Confidential の中間的機密」である。必知事項を取り扱うとき、「管理者は情報開示前に、その受け取り手となる人物にとって任務遂行上その情報が不可欠かどうか確認しなくてはならない」 秘密文書などには、いろいろな機密レベルの標識がついていることがある。 最近の情報公開文書の中には、機密分類も抹消しているものがある。 特殊アクセスプログラム(SAP:Special Access Programs)最高機密分類。すべて機密のものと、内容だけ機密のものと2種類ある。SCIは国家情報長官 (DNI) の管轄下であるが、SAPは政府の数人の高官が指定する。そのためSAPとSCIの分類は微妙であり、政府部内で解釈が一致していない。 コードワード(Code word)(SCI:Sensitive Compartmented Information)最高機密だけではなく、種類ごとに閲覧制限をかける。「最高機密」閲覧可能だけでは見ることができない(SECRETのSCIもある)。 ソ連高官(書記長を含む)の自動車電話盗聴作戦はGAMMA GUPYであった。閲覧できるのは極めて高いGAMMAレベルの閲覧許可+GUPYの閲覧許可の両方が必要であった。 ベノナ作戦の暗号名は暗号名からの情報漏れを防ぐために、数種類あった。 通信傍受情報の最高レベル(解読関係者以外の閲覧権限は数十人)はDINAR(1961–65),TRINE(1965–68),UMBRA(1968-99)などであった。(DINARという名前が政府高官のミスで漏れた時、即座にTRINEに変更した。) 偵察衛星情報のうちキーホール作戦の情報はTK:TALENT KEYHOLEであり、最高機密、偵察衛星情報、通信傍受情報、TALENT、TALENT KEYHOLEの4つ以上の資格が必要であった。 TSC:Top Secret Codeword 発行者管理OC:ORCON:Originator Controlled 配布とコピーは作成者のみ可能。一連番号で管理。 民間企業情報PRORIN:民間企業から得た情報を含む。 限定配布(LIMDIS:Limited distribution)NOFORNがつく場合がある。 正規職員のみ (NOCONTRACT) 黙読のみ(EO:EYES ONLY)・・口に出してはいけない。メモを取るのも禁止。 情報収集手段を含む(WNINTEL:Warning Notice -- Intelligence Sources & Methods Involved) 5カ国のみ(FVEY:Five Eyes Only)アングロサクソン5カ国(米、英、豪、カナダ、ニュージーランド) 米国人のみ(NF:NOFORN:No Foreign Nationals) コミント(COMMINT)通信傍受情報を扱うきわめて人数の少ない情報。ただし機密情報の受け渡し方法を制限するために、通信情報でなくても「HANDLE VIA COMINT CHANNELS ONLY」という扱いにして、情報漏れを防ぐこともある。(2011年からSI:Special Intelligenceを利用) 秘密分類は、文書、章、節、ページごとについている場合がある。例えば2013年の文書の例を挙げる。全体 SECRET//SI//NOFORN、表紙 (p1):UNCLASSFIED//FOUO、p10:SECRET//NOFORN、p11:UNCLASSFIED//FOUO、p18:SECRET 逆にきわめて機密度の高い1986年の文書の例では、全ページに同一の最高機密制限がかかっている。TOP SECRET/UMBRA/GAMMA/WNINTEL/NOFORN/NOCONTRACT/ORCON また公開情報の中にも、 機微であるが非分類 (Sensitive But Unclassified) 官用のみ (FOUO:UNCLASSIFIED//FOR OFFICIAL USE ONLY) といったレッテルが貼られて取り扱い注意 (Restricted)となり簡単に閲覧・入手できないものがある。審査を通って一般公開されることになった非公開情報は機密解除(declassified)扱いとなる。
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