機体の回収と調査
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/09 14:12 UTC 版)
「ヴィデロー航空710便墜落事故」の記事における「機体の回収と調査」の解説
710便はブレンネイスン空港から5海里 (9 km; 6 mi)南西にあるトルガッテン山に墜落した。山頂の標高は271メートルで、この山を除くと一帯は平坦な地形が広がっている。事故機が衝突したのは40度傾斜した西側斜面だった。予定された航路は山から800メートル離れていた。残骸は衝突地点から60ないし100メートル下った場所に散乱していた。 墜落後にAFISが繰り返し710便に呼びかけていたところ、航空機の飛行音と衝突を目撃したというトルガッテン付近の住人からの通報が寄せられた。ブレンネイスンの消防署と、医師を乗せたドクターヘリが現場へ派遣された。低く立ち込める雲、火災、現場の地形や暗闇のため救助作業は難航した。医療要員や空港管理者を乗せたヘリコプターは21時25分に到着し、空港には親族の出迎え場所が設けられた。23時30分、生存者の見込みはなく、捜索から事故調査へ移ることが警察から発表された。霧のため遺体の確認が遅れたが乗員乗客全員の死亡が翌日に確かめられた。75人のノルウェー軍兵士が機体の回収作業に加わった。 ノルウェー事故調査委員会(英語版) (AIBN) は21時10分に事故発生の通告を受けた。ノルウェー軍中将のWilhelm Mohrを座長とし、パイロットのHallvard Vikholt、中佐のAsbjørn Stein、警察庁長官Arnstein Øverkilを加えた4人のメンバーが選出された。悪天候のために彼らがブレンネイに集結したのは5月7日の15時だった。同日、ノルウェー国家犯罪捜査局がAIBNの支援に加わった。また、カナダ運輸安全委員会から6人が調査の支援に参加し、これにはデ・ハビランド・カナダとプラット・アンド・ホイットニー・カナダの担当者が含まれていた。ヴィデロー航空の4人の担当者が委員会からの聴取に備えた。AIBNのメンバーは後に心理学者のGrethe Myhreが加わり、ØverkilはArne Huuseに交代した。 5月7日にノルウェー民間航空庁(現:アビノール(英語版))が調査を行い、超短波全方向式無線標識/距離測定装置 (VOR/DME) システムは正常に働いていたことを明かした。AIBNはブレンネイスン空港のハンガーを拠点とし、そこにヘリコプターを使って機体の残骸を運び込んだ。遺体は身元確認のためトロンハイム大学病院へ運ばれた。技術的な調査は5月9日に始まった。フライトデータレコーダーとコクピットボイスレコーダーは情報を取り出し可能な状態で回収され、イギリスの航空事故調査局に送られた。マイクを不適切に使用していたことから機長の声を解読するのには困難が伴ったものの、機内の会話や出来事の系列を再構築すること自体は可能だった。5月10日には首相のグロ・ハーレム・ブルントラントが参加して追悼集会が開かれた。11日にはノルウェー軍による作業が、13日には警察による現地調査がそれぞれ終了した。 2013年5月、710便の乗客2人が携帯電話(Mobira NMT-450)を機内に持ち込んでいたことが委員会に知らされた。当初の調査では触れられていなかったこの事実に対し、AIBNは携帯電話の存在が垂直航行に影響した可能性について再調査を始めた。2013年12月、AIBNは携帯電話は事故に関係していないという結論に至った。携帯電話が電波干渉を引き起こしていた兆候はなく、電波干渉が事故に関与したことを示す事実も見つからなかったためである。
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