構内鉄道
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 07:26 UTC 版)
重量物を輸送する場面(溶銑を運ぶ混銑車は、満載時1両250トンになることもある)が多いため、多くの製鉄所では鉄道が重要な役割を果たしており、場内に数十キロメートルにおよぶ線路網を持つ製鉄所もある。常に変動する工程状況に柔軟に対応して輸送能力を確保するため、新幹線のCTC並のコントロールシステムを保有するケースもある。 高温・大重量の積荷を取り扱うことから、大物車に類する極めて特殊な構造の車両が多い(鋼滓鍋台車(通称)や熱片輸送車など)。作業環境も高温・粉塵・ガス等にさらされ、危険を伴うことから、安全性確保・省力化のため車両の操縦に無線による遠隔操縦を広く導入している。これにより、高炉の出銑口に混銑車を入線させる場合等には、運転士は操車・誘導担当を兼ねて機関車・貨車のデッキ(防護板と窓で半閉囲構造としていることが多い)や車外から周囲を確認しながら遠隔操縦機で機関車を操縦することができる。特に危険性の大きい製鋼工場内等では車両の周囲も無人化し、コントロールセンターからの遠隔操縦とすることもある。 鉄道線路が製鉄所構内のみで完結する場合、生産施設の一部と解され、鉄道事業法の適用対象外の運搬施設という位置付けとなる。このため大重量輸送という事から広軌を採用したり、機関車についても一般の鉄道と異なり、遠隔操縦を前提として運転室を省略した構造のものも使用される(この場合、機関車両端のデッキ(半閉囲構造)を大型化し、添乗時には運転士は遠隔操縦機を持ってここに乗車する。また手動運転用にデッキ内にも操縦機を備え付けている)ほか、信号機等についても独自の規格の機器が使用されることが多い。 混銑車を連結して運行する場合、1編成が1000トン近くに達する場合もあるなど、かなりの負荷が軌道にかかる。このため、例えば鉄製枕木や特殊な犬釘を使用するなど、軌道の整備には細心の注意を払っている。最近では[いつ?]短距離の熱片輸送には一種のリニアモーターカーが使用されるケースもあり、極めて地味な部門ではあるものの、製鉄所における鉄道も着実に進化を遂げている。
※この「構内鉄道」の解説は、「製鉄所」の解説の一部です。
「構内鉄道」を含む「製鉄所」の記事については、「製鉄所」の概要を参照ください。
- 構内鉄道のページへのリンク