日本における広軌の定義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/05 15:34 UTC 版)
日本では地方鉄道法により、私鉄も旧国鉄線の1067mmの狭軌を超える軌間の敷設が制限されたため、狭軌が日本の標準軌間になっていた。このため1067mmを超える軌間を全て広軌と呼ぶのが一般的だった時期がある。このため、現在でも過去と同様に1435mm軌間を広軌と表現する場合もあり、近畿日本鉄道ではそれを公式の呼称としている。混同を防ぐために、1067mmは国鉄標準軌、1435mmは国際標準軌という表現も用いられていた。 標準軌の1435mm(新幹線)を広軌と記述した、昭和中期頃(東海道新幹線の開業直前まで)までの国鉄公式文書がある。 近鉄名古屋線の標準軌化当時は、広軌化と記述されていた。 国鉄分割民営化後は、国際的な広軌との混同を防ぐため、公式文書で1435mm軌間を標準軌と記述するのが基本になり、広軌とは表現しなくなった。 日本国内に国際的な広軌(軌間が1435mmを超える)営業用路線は、2017年時点、(国土交通省管轄の普通鉄道では)存在しない。 工場構内鉄道として製鉄所で広軌を採用したケースがある。1676mm軌間がJFEスチール東日本製鉄所・京浜地区(旧称・扇島地区)に用いられているほか、1435mm軌間も各地の製鉄所で用いられている(いずれも非電化)。製鉄所構内で広軌や標準軌を採用した理由は、高炉で製造された銑鉄の輸送は製鋼工場までの閉じた輸送なことと、製鉄所が立地する埋め立て地の軟弱地盤で重量物を安定輸送する設計が容易なことによる。 特殊鉄道や非指定鉄道(国土交通省管轄外の鉄道)では、広軌を導入しているケースがある。ゴムタイヤ式地下鉄では広島高速交通が1700mm(案内輪間隔 2900mm)、札幌市営地下鉄が走行輪間隔で南北線が2230mm、東西線・東豊線が2150mmである。宮ヶ瀬ダムインクラインは1600mm、野辺山宇宙電波観測所のパラボラアンテナ運搬軌道は4000mmである。
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