札幌線の運航
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一方の新千歳線はジェット機就航直後こそ好調だったものの、乗客数は増加したが利用率は45 %前後に低迷した。2001年(平成13年)4月1日より機材小型化を兼ねて、YS-11による丘珠線に変更されたが、高速バスの所要時間短縮などが影響しさらに低下した。2002年(平成14年)7月1日にはANKからエアーニッポンネットワーク(現: ANAウイングス、以下AKXと表記)に移管され、旅客定員56名のQ300に変更された。所要時間は短縮したが利用率は向上しなかった。2003年(平成15年)9月30日、紋別行23名、紋別発19名の旅客を運び、翌10月1日付で横浜訓盲学院の不定期便就航以来37年に渡った遠紋圏と道央圏を繋ぐ路線はなくなった。 紋別市などは札幌線の復活に力を注ぎ、2004年(平成16年)は流氷観光と道都大学受験者の利便を図るため、AKXが2月限定で新千歳線を再開させた。これを足掛かりに北海道や航空各社に働きかけたが、2004年(平成16年)度は季節便も就航はなかった。2005年(平成17年)度はJALグループの北海道エアシステム(以下HACと表記)が赤字補填の条件付で、土曜・日曜を除く7月4日から11月まで丘珠線に就航することが決定した。運航機材は旅客定員36名のSaab340で、紋別市では市民を対象とした助成を行い利用率確保に努めたが、土曜・日曜休航では団体旅行も組みづらく低調に推移した。HACは機材整備の都合としてもっとも利用率の低い紋別線の運航を11月15日限りで打ち切った。利用率は38.5 %、紋別市は市民助成に500万円の予算を組んだが、利用は半分程度だった。 冬期は流氷観光で需要が見込めることから、乗り継ぎ需要も見込める新千歳線を要請したが、HACは利用率低迷のほか、整備・乗務員手配の都合などがあり難色を示した。しかしながら新たな路線を模索するHACは紋別線就航も視野に入れており、機材繰りの都合をつけ2006年(平成18年)2月の土曜・日曜8日間限定で新千歳線を就航した。この運航は78.0 %と好調だった。HACへの赤字補填は2,450万円の予算計上に対し、新千歳線の収益で一部相殺され2,270万円となった。 2006年(平成18年)度はJALグループ事業計画の中で土曜・日曜も含めた7月から11月まで運航する方針が固まった。この時点では丘珠線か新千歳線かは未定であったが、紋別市は乗り継ぎ需要が見込める新千歳線とすること、午前中のダイヤとすること、割引運賃の拡充などを要望した。赤字補填も継続するとした。HACは紋別市の意向にほぼ沿う形で新千歳線の就航を決め準備を整えたが、6月13日にまとめた7月の予約状況は予約ゼロの便が3分の1以上あるなど、HACの担当者からしても「異常」な状況だった。7月1日の再開初日こそ68.1 %の利用率であったが以降は低迷した。市民助成を拡大するなど梃入れを行ったが、HACへの赤字補填が約5,000万円と試算されるなど、税金投入に紋別市民の理解が得られるかが問われた。
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