期待される貢献
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/29 04:30 UTC 版)
「海洋地球観測探査システム」の記事における「期待される貢献」の解説
宇宙から深海底下まで、いつでも自在に地球を観測・探査できる能力は、日本の総合的な安全保障に資する基盤的技術として地球観測、災害監視、資源探査の分野において、大きく貢献することが期待できる。 地球観測分野においては、地球温暖化、水循環、生態系などの各分野観測データを統合・解析し、その結果を広く社会に提供することによって、気候変動の解明や自然災害の予測等の全人類的課題に対応した取組を推進することができる。また、今までは不可能であった大深度の掘削が可能となり、深部のコア試料から得られる古環境の微生物及びその遺伝子並びに地質データ等の生息環境バックデータを解析することにより、微生物の多様性と過去の地球環境の関係や生命の起源等についての理解が深まることが期待できる。 災害監視については、衛星により発災時及び発災直後の被災地状況の把握や被災地における正確な位置情報の把握等が可能となる。また、プレート境界面が滑ることにより 巨大なエネルギーをもった地震が引き起こされるが、水深4,000mを超える海底下深部のコア試料を採取することによるプレートの滑り面の直接解析や地震の伝搬媒体である海底地殻構造の詳細データの把握等により地震発生メカニズム解明の飛躍的進歩が期待できる。 資源探査については、海面の観測船からの音波探査等では、強風や波浪等の外力による影響を受けるなど精度に問題があるが、巡航探査機では、対象物に近い海中を航走することが可能となり、海底下500mレベルまで高精度なデータ取得できることから、より効率的に海洋資源量を把握することが可能となる。具体的には、既存の海底地層データでエネルギー資源、鉱物資源、生物資源等の存在が予測される海域において、広域海 底下データ及び掘削データなど観測データを3次元的に統合することにより、日本周辺海域に存在する様々な資源の把握が可能となる。海底下より採取したコア試料から新規微生物の探索を行うことにより、有用な酵素・機能を発見し、産業界への応用展開等が期待できる。 以上のように、海洋地球観測探査システムは、地球温暖化問題への対応、災害監視及び資源探査への貢献などを通じた全世界の人類への貢献が期待できるものである。 また、科学的見地からも、これらの衛星・探査技術は、例えば人類未踏のマントル採取など現在観測が困難な地域・海域の観測を可能とするものであり、この技術開発を行うことは、将来的に日本が世界最先端・最高水準の観測能力を持ち、その分野のフロンティアに立つことを意味する。このことは、科学技術創造立国を目指す日本にとって十分な意義を有するものである。
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