日本語における人名としての「名前」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 17:22 UTC 版)
「名前」の記事における「日本語における人名としての「名前」」の解説
個人を特定するために附けられる名前は、その方法として名の中に祖先から受け継ぐ「ミタマ」や血統を表す名を含める。これを「姓」といい、個人を血統という共通の要素でグループ化して区別できるようになる。血統を受け継ぐ一族の中心となる家系を「宗家」という。しかし日本においては古くから上位権力による支配のため、地位で区別する「氏」があり、宗家の継承には血族を継ぐ「嫡流継承」と、能力や資格、官位を継ぐ「氏的継承」の2つの解釈があった。さらに財産としての土地を相続する惣領という考え方や、養子や猶子の制度が加わり、複雑化してもとの血統を意味が失われた経緯がある。後世はこれらが混同して使われ、グループである家系や相続の関係が不明となる場合もあった。 個人の特定には家系(英: family name , last name , surname)を表す「氏」・「姓」に加え、「名」・「字」・「諱」・「諡」が使われる。「名」は「名字」というときは「姓」と同様にグループを指すが、「姓名」というときは「姓」に続けて記すことで個人を特定する名前を指す。以下では「名字」として説明する。 氏:「氏(うじ)、姓(本姓)」。 姓:「姓(カバネ)」。血族や一族というグループを表す。氏姓制度のように古くから上位権力による統制に利用された。 名:「名字(みょうじ) 」。中世において、田堵が自分の所領を区別して呼んだ名田に由来する。これもグループを表すのに使われる。 字:「字(あざな)、通名、通称、仮名(けみょう)、渾名(あだな)、英: nick name」。個人を特定するために通常使われる呼び名。元服前の「幼名(おさなな)」もこちらである。 諱:「諱(いみな)、本名、実名、英: given name , first name」。元服によって附けられる。個人を指すのに普段は使われずに「字(あざな)」で呼ぶ。これを実名敬避俗という。少人数の中で個人が特定できる場合に行われた が、権力者である場合は大人数の中にあっても存在が「唯一」になることから、後に崇敬が理由に加わって常態化し、後世ではその諱を他人が使うことが避けられた。本人が自分で使う場合があり、これを「名乗り(なのりな)」という。 これらを全て並べて用いる習俗を複名という。徳川家康に当てはめると『「源」「朝臣」「徳川」「次郎三郎」「家康」』 となる。また朝廷からは「正一位」「大相國 一品」が贈位され、これを名に冠する場合もある。 この他、立場、年齢、職業、目的などで自ら別名を名乗ったり、ほかから名付けられたりすることもあり、遂には本来の目的である個人の特定に至らないことがある。
※この「日本語における人名としての「名前」」の解説は、「名前」の解説の一部です。
「日本語における人名としての「名前」」を含む「名前」の記事については、「名前」の概要を参照ください。
- 日本語における人名としての「名前」のページへのリンク