日本語における「電車」の誤用について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/23 23:16 UTC 版)
「電車」の記事における「日本語における「電車」の誤用について」の解説
日本では人口集中地域における鉄道車両がほぼ電車であることから、鉄道車両全般を電車と総称する誤用が多く見られる。例えば、目の前に停車している気動車や客車を指して、旅客が駅員や乗務員に「電車」と問い合わせることが該当する。また、電化されていない路線の駅で、駅員に列車について「電車」と問い合わせる事も同様である。滑稽な例として、蒸気機関車列車を指して「SL電車」とテレビ番組で表現しているケースもある。 逆に1980年代までは、蒸気機関車時代からの名残で国鉄やJRの電車を「汽車」と呼ぶ人もおり、現代でも年配者の一部に見受けられる。踏切の道路標識でも汽車および一般的な鉄道車両マークで定義している。 鉄道車両の種別が混同する事情もあるため鉄道事業者としては、電車以外で車両種別の運行があるJRグループ・第三セクター鉄道事業者・私鉄では「列車」と表現することが多く、駅ホームにおける鉄道車両が接近の際に「列車が到着します」等の表示設備のある鉄道駅や、列車種別や運行系統によって駅自動放送・電光掲示板の発車標で使い分けている所もある。ただし、人口集中地域や後述の私鉄でも主に「電車」「電気鉄道」「電鉄」と公式通称も含めて末尾表記されている鉄道事業者において、電車運行しかない鉄道駅の場合は「電車」を普遍的に駅放送や発車時刻表示の接近表示としている駅・事業者も存在する。他には電車線・列車線での区別、各駅で採時を取る「列車ダイヤ」と一部駅のみで採時を取る「電車ダイヤ」といった運用上の区別もある。 「列車」での列車接近表示例(寝台特急)(大阪駅・2008年11月) 「電車」での列車接近表示例(新快速列車)(長浜駅・2016年5月) 「電車」での列車接近表示例(近鉄特急)(近鉄京都駅・2017年4月) 特に関西圏では私鉄の路線を「○○電車」と呼び替えることが定着しており、自社の鉄道事業およびその路線について、公式で「○○電車」と称する鉄道事業者がある(例 :「静鉄電車」( 静岡鉄道)、「遠鉄電車」(遠州鉄道)、「阪神電車」(阪神電気鉄道)、「京阪電車」(京阪電気鉄道)、「山陽電車」(山陽電気鉄道)など)。かつては阪急電鉄・京成電鉄・東武鉄道・京王電鉄などもこの呼称を使用していた。また近年では、一畑電車(一畑電気鉄道)や岳南電車(岳南鉄道)のように、鉄道部門を運営する子会社名に「電車」を用いる事業者も現れている。 日本国外においては、高速鉄道や先進国の人口集中地域以外においての鉄道路線の電化が日本の次元で普及していない事情もある。また、外国語でも「列車」に当たる表現を英語を例に挙げると"train"が鉄道車両の意味に相当するため、鉄道車両を「電車」という表現で示すことは稀である。(「EC」と「EMU」も参照。)
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