日本ラグビーフットボール協会理事としての活動
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「谷口真由美」の記事における「日本ラグビーフットボール協会理事としての活動」の解説
理事への在任中には、JAPAN RUGBY LEAGUE ONE(リーグワン)の立ち上げに従事。法人準備室長と審査委員長を兼務しながら、同リーグへ参加する意向を表明した24チームを1 - 3部リーグへ振り分けるための審査などを担当していた。 谷口が参加していた日本ラグビーフットボール協会の理事会では当初、ホームスタジアムの確保状況、事業や選手育成などの側面、直近のリーグ成績などの審査項目に沿ったチームの振り分け(各項目の採点に基づく順位付け)を審査委員会へ全面的に委任。順位付けの結果を会長の森重隆(元・ラグビー日本代表選手および福岡県立福岡高等学校ラグビー部監督)が承認することによって、チームの振り分けを確定させることが決まっていた。しかし、過去の実績や日本ラグビー界への貢献度よりリーグワンの設立に向けた事業計画を重視する審査委員会の方針に、参加予定チームの一部が反発。審査委員会による審査結果を検証する目的で、森が会長直轄の諮問委員会を立ち上げる事態に至った。 現に、日本ラグビーフットボール協会が2021年2月17日に開催した理事会では、法人準備室長を岩渕健輔専務理事(谷口と同時に理事へ就任した元・プロラグビー選手)に兼務させる人事案を了承。谷口はこの人事に伴って法人準備室長を退任したが、退任後も審査委員長や理事としての職務を続けていた。しかし、実際には前述した諮問委員会が、審査委員会と参加予定チームの間で合意されていない評価要素(参加予定チームの競技力に対する点数配分の変更など)を独自に加味。審査委員会の判断をおおむね尊重しながらも、トップリーグのラスト(2020/21)シーズンで複数の参加予定チームの最終順位が同じだったことを踏まえて、最終承認を前に戦績面での計算方法を変更した。諮問委員会がこの方法を基に改めて採点した結果、審査委員会が「リーグワンの1部に相当」と判断したチームと「2部に相当」と判断したチームの一部で採点順位が入れ替わったものの、再計算後の順位を基にチームの振り分け案(1部は12チーム、2・3部は各6チーム)を承認した。 審査委員会は、リーグワンにおけるチームの振り分けが確定したことを受けて、2021年6月で解散。解散のタイミングが非常勤理事としての谷口の任期満了と重なったことに伴って、谷口は理事職も1期限りで退任した。その一方で、日本ラグビーフットボール協会では、谷口以外の審査委員の氏名や採点の最終結果を公表しない方針を打ち出している。 なお、森はリーグワンの発足を機に、リーグのトップ(初代理事長)も兼務。リーグワン初代理事の池口徳也は、「参加予定チームに対する評価項目の点数化に審査委員会の裁量が入る余地があった」として、「今後は、参加チームの評価に明確な基準を設けながら、Jリーグ(プロサッカー)やBリーグ(プロバスケット)のようなチームライセンス制度に昇華させる」という方向性を谷口の理事退任後に示している。 一方の谷口は、リーグワン開幕の翌月(2022年2月1日)に『おっさんの掟 「大阪のおばちゃん」が見た日本ラグビー協会「失敗の本質」』という著書を小学館新書から刊行。ラグビーへの愛情やリーグワンを応援する思いを交えつつも、リーグワンの発足をめぐる日本ラグビーフットボール協会の内部事情や、「年齢・性別・外見を問わず『おっさん』(他人の話を聞いたり自分が間違っていても謝ったりしない独善的な人物)が幅を利かせるラグビー界の外部から非常勤扱いで起用された女性理事」という立場で感じた協会の問題に苦言を呈している。谷口によれば、執筆へ至った最大の動機は、「(変化を拒む『おっさん』の)封建的な価値観によって日本の組織や社会全体で同時多発的に起きている問題を、私が日本ラグビーフットボール協会での経験を語ることで浮き彫りにできるのではないか」という問題意識にあったという。
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