岩渕健輔とは? わかりやすく解説

岩渕健輔

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/11 22:17 UTC 版)

岩渕 健輔
生年月日 (1975-12-30) 1975年12月30日(49歳)
出身地 日本東京都
身長 178cm
体重 81kg
学校 青山学院高等部
大学 青山学院大学
ケンブリッジ大学
ラグビーユニオンでの経歴
ポジション スタンドオフ
ユース経歴
1991-1994 青山学院高等部
1994-1998 青山学院大学
1998-2000 ケンブリッジ大学
シニア経歴
チーム 出場 (得点)
1998-2000 神戸製鋼 ()
2000-2004 サラセンズ ()
2005-2006 福岡サニックス ()
2006-2007 USコロミエ ()
2007-2008 セコム ()
代表
チーム 出場 (得点)
1997-2002  日本 20 (40)
7人制代表
チーム 大会
 日本
コーチ歴
チーム
2005-2006 福岡サニックス
2007-2008 セコム
2008-2009  7人制日本代表
2017-2021 7人制男女日本代表総監督
2018-2021  日本

岩渕 健輔(いわぶち けんすけ、1975年12月30日 - )は、日本の元ラグビー選手。現在は、日本ラグビーフットボール協会の専務理事[1]アジアラグビー副会長[2][3]。かつて、男女7人制ラグビー日本代表チームで総監督、7人制ラグビー男子日本代表チームでヘッドコーチを務めた。

略歴

出典は[4][5][6]など。

青山学院初等部3年生の時にラグビーを始める。青山学院中等部・高等部青山学院大学国際政治経済学部に進む。

1997年(平成9年)5月3日、第2回パシフィック・リム選手権香港代表戦で初キャップを獲得。

1998年(平成10年)4月、神戸製鋼に入社。同年10月にケンブリッジ大学社会政治学部に入学。

1999年(平成11年)10月、第4回ワールドカップ1999日本代表メンバーに選ばれたが[7][8]、出場機会は無かった[9]

1999年12月、ケンブリッジ大学在学中にオックスフォード大学との定期戦(ザ・バーシティマッチ)に出場、「ブルー」の称号を得る。

2000年7月にケンブリッジ大学卒業。同時に神戸製鋼を退社。

2000年8月にイングランドプレミアシップサラセンズに入団。日本人初のプレミアシップ出場を果たした。

2001年、ワールドカップセブンズ2001で、7人制日本代表の主将を務めた。

2002年釜山アジア大会の7人制で左膝靱帯を断裂。その後、長期戦線離脱を余儀なくされた。

2004年サラセンズと提携を結ぶ福岡サニックスブルースに、ストラテジーコントローラーとして派遣。

2005年福岡サニックスブルースの選手兼任コーチとして登録される。

2006年フランスUSコロミエに移籍。

2007年セコムラガッツの選手兼任コーチに就任。

2008年7人制日本代表選手兼任コーチに就任。

2009年日本ラグビーフットボール協会ハイパフォーマンスマネージャーに就任[10]

2012年日本ラグビーフットボール協会日本代表GM(ゼネラルマネージャー)に就任[11]

2017年、GM職廃止に伴い、男女7人制の総監督に就任[12]。併せて、15人制女子代表の強化委員長に就任[13]

2018年男子7人制日本代表ヘッドコーチに就任。男女7人制の総監督との兼務となる[14]

2019年日本ラグビーフットボール協会専務理事に就任[15]

2020年11月、ワールドラグビー理事に就任[16]

2021年2月、ジャパンラグビートップリーグなどの再編に伴うプロラグビー新リーグの立ち上げに向けて、日本ラグビーフットボール協会専務理事との兼務扱いで、協会の新リーグ法人準備室長に就任(初代の室長を務めた谷口真由美理事の後任)[17]。同年8月11日、男子7人制日本代表ヘッドコーチを退任[18]

2021年6月、日本ラグビーフットボール協会専務理事に再任[19]

2024年11月、アジアラグビー副会長に就任した。任期は4年間[2][3]

アジアラグビーからの処分問題

2019年、アラブ首長国連邦(UAE)のカイス・アルダライ(Qais Al-Dhalai)がアジアラグビーの会長に就任[20]

これをきっかけに、アジアラグビーの本部は香港からUAEへ移転された。しかし、UAEでは法人登録されず、アジアラグビー専用の銀行口座がなく、ワールドラグビーからアジアラグビー各国への助成金は、UAEラグビー連盟(UAERF)の銀行口座を経由していた[21][22]

2024年9月、ワールドラグビーは、アジアラグビーにおける財務管理での深刻な懸念を理由に、アジアラグビーへの助成金を停止した[23][24]

2024年10月7日、ワールドラグビーは、アジアラグビーに対する監査報告書でも、財務上の不正行為の可能性を指摘した[25]

2024年11月、岩渕健輔はアジアラグビーのガバナンスや財務管理に深刻な懸念があると指摘し、アジアラグビーの健全化を訴え、それに賛同するユニオン(国)からの支持を受け、アジアラグビー副会長に当選した[26]

2025年2月24日、アジアラグビーは岩渕健輔に対し、行動規範に抵触した可能性があるとして、アジアラグビーでの副会長職務を停止したと発表した[27][28][29][30][31]

翌25日、日本ラグビーフットボール協会は、アジアラグビーが主張するような事実はないと発表した[32]

26日、日本ラグビーフットボール協会は、アジアラグビーによる今回の一方的な発表こそが行動規則に反しているとして撤回要請を行った。さらに、ワールドラグビーに対し、アジアラグビーに関する調査要請を行った[33][34]

3月12日、岩渕健輔は「アジアラグビーとやりとりをしないよう、ワールドラグビーから通達があった。アジアラグビーと日本協会とのやりとりは、全て止まってる」と述べた[35]。「(職務停止となる前に)アジアラグビーからのヒアリングや通告がなかった。なぜ職務停止が出来るか、私が教えて頂きたいというのが本音」と述べた[36]

4月23日、ワールドラグビーは、岩渕健輔の行動(2024年12月21日から2025年1月9日の間に、アジアラグビーの秘密保持契約書・執行委員会雇用申告書・収入申告書の内容に関して、アジアラグビーに問い合わせをした行為)について、「まったく妥当な質問行為であり、アジアラグビーおよびワールドラグビーの行動規範の違反を示唆するものではない」と結論づけた[37][38]。ワールドラグビーは、「この決定をアジアラグビーと日本ラグビーフットボール協会に通知し、岩渕がアジアラグビー副会長へ復職することを期待する」と表明した[39][40]

4月24日、日本ラグビーフットボール協会は、アジアラグビーのケイス・アル=ダライ会長に対して、岩渕健輔への公式謝罪を求める文書を送付する方針を決めた[41][42]

2025年6月11日、日本ラグビーフットボール協会は、アジアラグビーによる岩渕健輔への副会長職務停止処分が解除されたと発表した。ワールドラグビーから6月5日に文書で通達された。2月の職務停止や今回の処分解除ついて、アジアラグビーからは一切の説明がないという[43][44]

ワールドラグビーからの6月5日の通達文書では、アジアラグビーの運営を正常化・監視するための「監視委員会」を設置することも日本ラグビーフットボール協会に伝えられた。監査委員会は、従来から続く各種問題の解決と正常化を急ぎ、アジアラグビーの意思決定の監督、財務に関するガバナンス不全の解決、各国協会へのヒアリングを行う[45]

著書

  • 2016/11:『準備する力』ラグビー日本代表GMのメソッド ISBN 4048955918 KADOKAWA
  • 2016/3:『日本ラグビー論』ISBN 4583109962 ベースボールマガジン社
  • 2015/9:『変えることが難しいことを変える。』 ISBN 4584124876 ベストセラーズ(ベスト新書)
  • 2012/11:『世界で勝たなければ意味がない』日本ラグビー再燃のシナリオ ISBN 4140883928 NHK出版
  • 2011/3:『ぐんぐんうまくなる!7人制ラグビー』 ISBN 4583103085 ベースボールマガジン社

関連項目

脚注

  1. ^ 2022年度・2023年度理事決定のお知らせ”. JRFU. 2023年4月14日閲覧。
  2. ^ a b The Council and Asia Rugby Executive Committee” (英語). Asia Rugby. 2025年2月25日閲覧。
  3. ^ a b INC, SANKEI DIGITAL (2025年2月25日). “アジアラグビー、岩渕健輔副会長を職務停止 行動規範に抵触の可能性”. サンスポ. 2025年2月25日閲覧。
  4. ^ 岩渕健輔氏が7人制日本代表コーチに就任”. JRFU. 2023年8月19日閲覧。
  5. ^ 岩渕健輔氏、ハイパフォーマンスマネージャーに就任”. JRFU. 2023年8月19日閲覧。
  6. ^ ラグビー15人制日本代表、新ゼネラルマネージャー決定のお知らせ”. JRFU. 2023年8月19日閲覧。
  7. ^ 過去のワールドカップ - 第4回大会”. JRFU. 2023年8月19日閲覧。
  8. ^ ラグビー ワールドカップ1999 日本代表│日本ラグビー”. nippon-rugby.com. 2023年8月19日閲覧。
  9. ^ 機関誌「RUGBY FOOTBALL」49巻3号(1999年11月号)3-7頁”. JRFU. 2023年8月19日閲覧。
  10. ^ 岩渕健輔氏、ハイパフォーマンスマネージャーに就任”. JRFU. 2023年8月19日閲覧。
  11. ^ ラグビー15人制日本代表、新ゼネラルマネージャー決定のお知らせ”. JRFU. 2023年8月19日閲覧。
  12. ^ ラグビー代表GMから7人制総監督へ。岩渕健輔が語る大きな決断の理由。Number Web
  13. ^ 日本ラグビー協会、GM職廃止 各代表の責任者明確にsanspo
  14. ^ 男子7人制日本代表・岩渕健輔新ヘッドコーチ就任。会見で何を語った?RUGBY REPUBLIC
  15. ^ 日本ラグビー協会副会長に清宮克幸氏、専務理事は43歳・岩渕健輔氏ラグビーリパブリック
  16. ^ worldrugby.org. “World Rugby Council”. www.world.rugby. 2025年2月25日閲覧。
  17. ^ ラグビー新リーグ準備室長退任  背景にチーム側の不満”. 朝日新聞デジタル (2021年3月10日). 2021年3月10日閲覧。
  18. ^ 男女セブンズナショナルチームディレクターおよび 男女セブンズ日本代表ヘッドコーチ退任のお知らせJRFUウェブサイト 2021.8.11 (水)
  19. ^ 公益財団法人日本ラグビーフットボール協会 2021年度~2024年度評議員 2021年度理事・役員決定のお知らせ”. JRFU. 2023年8月19日閲覧。
  20. ^ 日本ラグビー協会・岩渕健輔専務理事、アジア協会『副会長職資格停止』の処分について説明 「不当な内容」として撤回要請”. gooニュース. 2025年3月13日閲覧。
  21. ^ rugbyasia247 (2024年10月1日). “Asia Rugby’s Leadership & Governance Called Into Question With Damning World Rugby Independent Financial Audit” (英語). RugbyAsia247. 2025年3月13日閲覧。
  22. ^ Asia Rugby exposed in damning World Rugby audit report | Daily FT” (English). www.ft.lk. 2025年3月13日閲覧。
  23. ^ 【ラグビー】岩渕健輔氏「アジアが大きく変わる一歩に」自身の職務停止問題に言及 - スポニチ Sponichi Annex スポーツ”. スポニチ Sponichi Annex. 2025年3月13日閲覧。
  24. ^ 編集ラグリパ編集部 (2025年3月12日). “日本協会・岩渕健輔専務理事がアジアラグビー副会長停職事案に言及。正式な手続きなく進行、当局から「説明がない」 - ラグビーリパブリック”. 2025年3月13日閲覧。
  25. ^ Asia Rugby exposed in damning World Rugby audit report | Daily FT” (English). www.ft.lk. 2025年3月13日閲覧。
  26. ^ 編集ラグリパ編集部 (2025年3月12日). “日本協会・岩渕健輔専務理事がアジアラグビー副会長停職事案に言及。正式な手続きなく進行、当局から「説明がない」 - ラグビーリパブリック”. 2025年3月13日閲覧。
  27. ^ 日本放送協会 (2025年2月25日). “アジアラグビー 岩渕健輔副会長を職務停止に 行動規範に抵触か | NHK”. NHKニュース. 2025年2月25日閲覧。
  28. ^ 【ラグビー】何があった?アジア統括団体が岩渕副会長の職務を一時的に停止 日本協会「確認中」(スポニチアネックス)”. Yahoo!ニュース. 2025年2月25日閲覧。
  29. ^ 【ラグビー】日本協会「反する行為は一切ない」岩渕健輔氏のアジアラグビー副会長一時停職に見解(日刊スポーツ)”. Yahoo!ニュース. 2025年2月25日閲覧。
  30. ^ Rugby, Asia (2025年2月24日). “Asia Rugby Announcement : Suspension of Mr Kensuke Iwabuchi” (英語). Asia Rugby. 2025年2月25日閲覧。
  31. ^ JRFU. “アジアラグビーからの2/24付発表に対する当協会の見解について|日本ラグビーフットボール協会”. www.rugby-japan.jp. 2025年2月25日閲覧。
  32. ^ JRFU. “(2/28更新)アジアラグビーからの2/24付発表に対する当協会の見解について|日本ラグビーフットボール協会”. www.rugby-japan.jp. 2025年2月28日閲覧。
  33. ^ JRFU. “(2/28更新)アジアラグビーからの2/24付発表に対する当協会の見解について|日本ラグビーフットボール協会”. www.rugby-japan.jp. 2025年2月28日閲覧。
  34. ^ 【ラグビー】日本協会「ただちに撤回を要請」岩渕健輔氏の副会長職一時停止でARに文書送付(日刊スポーツ)”. Yahoo!ニュース. 2025年2月28日閲覧。
  35. ^ 【ラグビー】岩渕健輔専務理事、副会長務めるARの職務停止に「何故そのようなことが出来るか、教えて頂きたいのが本音」(スポーツ報知)”. Yahoo!ニュース. 2025年3月12日閲覧。
  36. ^ 【ラグビー】岩渕健輔専務理事、副会長務めるARの職務停止に「何故そのようなことが出来るか、教えて頂きたいのが本音」(スポーツ報知)”. Yahoo!ニュース. 2025年3月12日閲覧。
  37. ^ worldrugby.org. “ワールドラグビー声明: 日本ラグビーフットボール協会 岩渕健輔会長のアジアラグビー執行委員会からの一時的な解任処分について | ワールドラグビー”. www.world.rugby. 2025年4月23日閲覧。
  38. ^ 編集ラグリパ編集部 (2025年4月23日). “岩渕健輔氏のアジアラグビー停職処分についてワールドラグビーが調査。違反の示唆はないと結論。 - ラグビーリパブリック”. 2025年4月23日閲覧。
  39. ^ worldrugby.org. “ワールドラグビー声明: 日本ラグビーフットボール協会 岩渕健輔会長のアジアラグビー執行委員会からの一時的な解任処分について | ワールドラグビー”. www.world.rugby. 2025年4月23日閲覧。
  40. ^ 編集ラグリパ編集部 (2025年4月23日). “岩渕健輔氏のアジアラグビー停職処分についてワールドラグビーが調査。違反の示唆はないと結論。 - ラグビーリパブリック”. 2025年4月23日閲覧。
  41. ^ JRFU. “(4/24更新)アジアラグビーからの2/24付発表に対する当協会の見解について|日本ラグビーフットボール協会”. www.rugby-japan.jp. 2025年4月24日閲覧。
  42. ^ アジアラグビーに謝罪要求 岩渕氏職務停止で日本協会(共同通信)”. Yahoo!ニュース. 2025年4月24日閲覧。
  43. ^ 岩渕副会長の処分解除 ワールドラグビーから通達―アジアラグビー(時事通信)”. Yahoo!ニュース. 2025年6月11日閲覧。
  44. ^ アジアラグビー岩渕健輔副会長の職務停止処分解除 何の説明もないまま「何だったのか分からない…」 - スポニチ Sponichi Annex スポーツ”. スポニチ Sponichi Annex. 2025年6月11日閲覧。
  45. ^ 編集ラグリパ編集部 (2025年6月11日). “岩渕健輔氏のアジアラグビー副会長停職は解除。ガバナンス健全化へ、ワールドラグビーが監査委員会を設置。 - ラグビーリパブリック”. 2025年6月11日閲覧。

外部リンク

ラグビーユニオン
先代
太田治
ラグビー日本代表ゼネラルマネージャー
2012-2017
次代
廃止




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