日本のコングロマリットとその解消の実例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/07 15:55 UTC 版)
「コングロマリット」の記事における「日本のコングロマリットとその解消の実例」の解説
純粋持株会社解禁以前 戦後、純粋持株会社は認められなくなったために、この時期、コングロマリットの例は日本ではあまりない。この期間のコングロマリットの代表的な例としては、ヤマハがあげられる。ピアノなどの楽器製造メーカーである日本楽器は、ブランド名『ヤマハ』を使っていた。この名を使い、社内でオートバイを生産し始めたが、この「楽器製造」と「オートバイ製造」は(実際には楽器生産により培った鋼管加工技術の展開先として発動機パーツへ進出しているため関係性は強かったが)最終製品において特段に相乗効果はなく、この2分野を共におこなっていた時期はコングロマリットと呼べなくもない。ただこの期間は短く、オートバイ製造部門はスピンオフされて、ヤマハ発動機として独立した。豊田自動織機製作所の一事業部として自動車生産をしていた時代も同様である。また、繊維事業を営んでいたカネボウも戦後繊維・化粧品・薬品・食品・住宅の5事業を展開する「ペンタゴン経営」を行っており、典型的なコングロマリットといえる。 なお、鉄道会社が遊園地を経営したりプロ野球球団を持ったりデパート経営するのは旅客輸送を増やすため、NECが半導体や電子製品を作ったのは川上から川下まで手がけるため、ユニ・チャームが紙問屋から紙の性質に着目し生理用品製造をはじめたのは隣接分野への領域拡大、オカモトがコンドームからタイヤ生産に進出したのも同じゴム素材による事業拡大、ダイエーが百貨店やコンビニエンスストアを展開したのも隣接分野への進出であり、このような場合はコングロマリットとは呼ばない。 純粋持株会社解禁以後 1997年に純粋持株会社が解禁以後は、機動的なM&Aを行いやすくなり、教科書的なコングロマリットが出現した。 ライブドアは積極的な買収を繰り返し、純粋持株会社の下に、多種の企業をぶら下げる形になった。しかし経営につまずき、実質的に崩壊した。 USENももともとの事業は有線放送だけであったが、純粋持株会社となり、積極的な買収を繰り返し、純粋持株会社の下に、多種の企業をぶら下げる形になった。しかし事業分野が拡散しただけに終わり、有線放送事業以外をすべて売却し、この膨張と縮小の過程で債務を積み上げた。 スピンオフ税制解禁以後 2017年に、会社分割時に株主などが株式を売却したとみなされて課税されるのを繰り延べる、「スピンオフ税制」が導入され、これでスピンオフがしやすくなった。 2020年に、コシダカホールディングスは、フィットネス事業とカラオケ事業を分離し、コングロマリット状態を解消した。フィットネス事業の「カーブス」を運営する子会社のカーブスホールディングスを分離・上場した。日本の企業でスピンオフ税制を活用する初のケースだった。 東芝は総合電機企業であるが、2021年11月9日、本体とグループ企業で手掛ける事業を3つの会社に再編しそれぞれが上場する、コングロマリットの解消を発表した。実現すれば、日本のコングロマリットが会社を分割し上場するのは初の事例となる。複数の海外投資ファンドがこの3分割計画に反対しており、東芝はデバイス事業だけをスピンオフする2分割に見直す方向で調整していると報じられた。
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