日本のコミュニティ・スクール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/08 07:10 UTC 版)
「コミュニティ・スクール」の記事における「日本のコミュニティ・スクール」の解説
近年、三鷹市、岡山市、福島県大玉村など小中一貫教育を採り入れたコミュニティ・スクールの取組が普及しつつある。 コミュニティ・スクールは、2000年の教育改革国民会議の提案を受けて、2002年度に「新しいタイプの学校運営のあり方」に関する研究指定校とされた全国7地域9校で実践研究が始められた。アメリカのチャータースクールを模したものとして捉えられがちだが、研究指定校の一つである足立区立五反野小学校ではイギリスの学校理事会制度をモデルにしていた。日本国外でのやり方がどこまで取り込まれるかは未知数であるといわれるものの、保護者や地域住民などの多方面の代表が参加する運営は、学童クラブの運営などで実際にすでに見られることであるが、日本国内の学校教育においては新しい仕組みだと言える。 日本の学校制度では、学校教育法によって、学校の設置者が学校を管理をすることになっており、コミュニティ・スクールの設置については、学校の設置者が、その学校を管理する上で必要とされる範囲内で行われる。 2004年の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正により、学校を管理する教育委員会の判断によって、公立学校に学校運営に関して協議する機関として、学校運営協議会を個別におくことが可能になった。日本では、この学校運営協議会がおかれた公立学校を指して、「コミュニティ・スクール」や「地域運営学校」と呼称されることが多い。この法律が適用されたコミュニティ・スクールとして日本ではじめて指定されたのは、元ベネッセコーポレーションの三原徹が当時校長の足立区立五反野小学校である。五反野小の学校理事会がコミュニティ・スクールの原型を築いたといえるが、その後、五反野小モデルは続かず、京都市立御所南小学校や三鷹市立第四小学校のように、学校支援活動と連動したタイプが普及することとなった。そうした流れに抗しきれず、五反野小学校も2011年度には学校理事会を廃して、学校支援活動を含めた開かれた学校づくり協議会型コミュニティ・スクールとして一新した。なお、五反野小学校は統廃合により、2013年4月から足立小学校になり、コミュニティ・スクールの指定を廃止した。その際、五反野小学校の学校運営協議会関係者から猛反対があったものの、区教委はその声に耳を貸さずに、指定の廃止に踏み切った。 文部科学省は、2012年7月に、学校運営の改善の在り方等に関する調査研究協力者会議報告書「子どもの豊かな学びを創造し、地域の絆をつなぐ〜地域とともにある学校づくりの推進方策〜」の中で「今後5年間で、コミュニティ・スクールの数を全公立小中学校の1割に拡大」するという数値目標を受けて、コミュニティ・スクールの推進に努めている。2012年3月には、そのための審議機関として、コミュニティ・スクール企画委員会を新設し、コミュニティ・スクールの普及を図っている。 2011年2月には、民間組織として、コミュニティ・スクールを指定した全国の教育委員会教育長などからなる全国コミュニティ・スクール連絡協議会が発足し、三鷹市の貝ノ瀬滋教育長が会長に就任した。 そして、2015年3月4日に、教育再生実行会議がすべての公立小中学校に学校運営協議会を設置し、コミュニティ・スクールの普及を図るよう提言したところである。同年4月現在の学校運営協議会設置校(コミュニティ・スクール)は日本全国で2,389校となっている。2017年3月27日には地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正によって教育委員会がコミュニティ・スクールを導入することが努力義務とされた(同年4月1日施行)。2017年には3,600校になった。なお、不登校の児童生徒を対象にした民間教育機関の中には、コミュニティ・スクールと称する例もある。これはアメリカの例の影響による。
※この「日本のコミュニティ・スクール」の解説は、「コミュニティ・スクール」の解説の一部です。
「日本のコミュニティ・スクール」を含む「コミュニティ・スクール」の記事については、「コミュニティ・スクール」の概要を参照ください。
- 日本のコミュニティ・スクールのページへのリンク