日本においてIPランドスケープが登場した背景
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/03 00:44 UTC 版)
「IPランドスケープ」の記事における「日本においてIPランドスケープが登場した背景」の解説
日本国内においては以下のような様々な定義が存在し、主に「知財情報(主に特許情報)を経営戦略・事業戦略策定へ活用」と「知財を重視した経営」の2つの意味合いのいずれかで用いられることが多い。 本報告書では IP ランドスケープという用語が出てくるが、これはパテントマップとは異なり、自社、競合他社、市場の研究開発、経営戦略等の動向及び個別特許等の技術情報を含み、自社の市場ポジションについて現状の俯瞰・将来の展望等を示すものである。 IPランドスケープ IPはIntellectual Property(知的財産、知財)の略語で、広い意味では、知財を生かした経営を指す。具体的には企業の知財部門が主体となり、自社や他社の知財を中心とした情報を市場での位置づけ、競合関係を含めて統合的に分析し、グラフや模式図を使って経営陣や事業担当者に戦略の切り口を提供する活動をいう。欧米の知財先進企業に定着しており、17年ごろから日本企業にも広がり始めた。 IPランドスケープとは、競争優位をつくるために知財情報を有効活用することです。 『知財人材スキル標準(version 2.0)』でIPランドスケープが定義された背景として、日本特許庁の報告書における以下の海外企業・特許事務所のヒアリングによって、IPランドスケープの把握が重要であるとの結果が得られたことが挙げられる。 ダイソン IPの専門家としてのインプットの1つにIPランドスケープの提示がある。これは、市場にどのようなプレイヤーが存在しポジションを確保しているのかといった情報を含む。また、新技術について特に注目するものには特定の特許を3-6ヶ月くらい集中して特定の領域をウォッチするようなこともある。IPランドスケープはマクロとミクロの双方で描く必要がある。 グラクソスミスクライン 内部のR&Dではかなり早い段階でIPのサポートを行っている。IPが他者の権利を侵害しないか、権利保護はなされるか、また市場に出した場合に利益を得られるか、といった事を行う。知財のランドスケープを示す事が重要である。技術的な保護ができるか、だけではなく、投資の回収が可能かをIPの視点から考える必要がある。 匿名企業B ライセンシングを含めた事業開発戦略を考えることが重要である。知財部門と事業部門が統合される事が必要である。B社の事業開発部門では外部のIPランドスケープ分析のアウトソーシングを行っているが、それでも多くの分析業務は、知財部門に依存している。 Ratner-Prestia(IP law firm) 知財部門の重要な業務にIPランドスケープがある。これは、特許や知財のマップだけではなく、事業化のタイミングやプロセスを同時に含む。真に能力の在るライセンス専門家は弁護士の経験を必要とすると見ている。すなわち、ライセンシングとは協奏曲であり、独奏ではない。つまり、ライセンシングのプロは合意形成の際、多くのことを意識的に考慮しなければならない。知財評価の技術としてIPランドスケープから法と市場の戦略まで。他社がライセンス合意の草案を作成するのに役立つテンプレートやツールが例えあったとしても、実際の弁護士としての実践的な経験は、リスク管理や資料の質を確保する上で大変貴重である。 各社とも事業・マーケットと知財を連携させている点では共通しており、このことから日本国内では知財情報と知財以外のマーケット情報・企業情報などを複合的に分析することがIPランドスケープであるという捉え方もある。なお、知財戦略と事業戦略の連携という点では、小泉首相の時代に謳われた「経営戦略の三位一体」(知財戦略⇔事業戦略⇔R&D戦略)と共通する部分がある。
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