旅情と歴史ととは? わかりやすく解説

旅情と歴史と

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/09 14:41 UTC 版)

万葉翡翠」の記事における「旅情と歴史と」の解説

清張作品では、旅情重要な位置占める。清張幼少時から旅に憧れ作家として身を立てる前から多くの旅に出ていた。そのすべてが必ずしも楽しい旅ばかりではなく十代終わりごろの旅は、死ぬことを強く意識したであったという。幼少時からの旅への憧れ晩年まで続き彼の作品世界における魅力1つとなった清張登場以前は、推理小説における旅情はほとんど注目されなかった。第二次世界大戦前、「探偵小説」と呼ばれていた時期では蒼井雄『船富家惨劇』や赤沼三郎悪魔の黙示録』、第二次世界大戦後鮎川哲也『黒いトランク』などの作品があったものの、豊かな旅情描写した作品は数少なかった推理小説旅情取り入れたのは、清張旅行雑誌「旅」に1957年2月号から1958年1月号に連載した長編推理小説点と線』がその嚆矢とされる清張にとって初のミステリー長編小説でもあったこの作品ベストセラーとなってその後の作品方向性影響与えたその後2年ほどの間に、『ゼロの焦点』能登半島)、『蒼い描点』(箱根)、『影の地帯』(信濃路)、『波の塔』(富士の樹海)、『球形の荒野』(奈良)、『砂の器』(出雲)などの諸作品で旅の描写盛り込まれ作品における旅情重要な位置占めるようになっていた。 他に重要な要素として挙げられるのは、古代史始めとする歴史対す興味である。清張多岐にわたる分野知識有していたことはよく知られているが、その中で考古学日本史領域には奥深いものがあった。清張専門家領域にも自らの視点探求して深く入り込みそのようにして蓄積され知識自分作品生かそうとした。 清張作品知識生かす方法として、歴史対す論評として真正面から取り組むケース(『古代史疑』など)と、ミステリー絡めて作品としたケース双方試みている。後者の例としては、邪馬台国論争と『魏志倭人伝』に題材得た陸行水行りくこうすいこう)』(1963年)とこの『万葉翡翠』が挙げられる清張日本産翡翠再発見に想を得て、『万葉翡翠』を執筆した清張自身はこの『万葉翡翠』について、エッセイ推理小説発想』で「万葉集もまた推理小説になりうる」と前置きした上で次のように記述している。 普通、こういう古歌俳句などはその字句暗号的に推理小説使われることはあったが、歌意そのもの解明して先学解釈打破した学説応用した推理小説も一つ分野と言えよう。万葉集十三にある「渟名河の 底なる玉 求めて 得まし玉かも。拾ひて 得まし玉かも。惜しいあたらき 君が 老ゆらく惜しも。」の異説使って殺人事件書いたのが『万葉翡翠』である。 — 『推理小説発想』 『万葉翡翠』は、作者である清張自身好んでいた短編であった。『松本清張短篇総集』(1963年4月10日講談社発行1971年4月28日復刊第1刷発行所収の『書いたころ』という短文で「この一篇好きなのでこれに集録した」と言及し、「国学院大の樋口清之教授から教えられるところが多かった」と謝辞述べた清張作品では、1963年発表された『たづたづし』も万葉集モチーフとして扱っている。

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