新羅人の渤海認識とは? わかりやすく解説

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新羅人の渤海認識

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 15:19 UTC 版)

渤海 (国)」の記事における「新羅人の渤海認識」の解説

田中俊明李成市古畑徹によると、8世紀の唐の記録には、新羅人新羅東北境の住民である渤海人のことを、黒毛で身を覆い、人を食らう長人、ととらえていたことをうかがわせる記述があり、この異人視は渤海新羅両国没交渉からくる恐怖感示しそれだけ異域であったことの証左であり、新羅および渤海辺境地帯地域住民に対してこれだけ異域観がみられることから、渤海新羅両国乖離した意識は明確であり、渤海新羅同族意識うかがいうもない指摘している。長人記事とは、『新唐書』二二〇・東夷伝新羅『太平広記』四八一・新羅条の以下の記事である。 新羅弁韓苗裔也。居漢樂浪地、橫千里、縱三千里、東拒長人東南日本西百濟、南瀕海北高麗。(中略長人者、人類長三丈、鋸牙鉤爪黑毛覆身、不火食、噬禽獸、或搏人以食、得婦人、以治衣服。其國連山數十里、有峽、固以闔、號關門新羅常屯弩士數千守之。新羅中略)東は長人を拒つ。(中略長人なる者は、人の類にして長三丈、鋸牙鉤爪黒毛もて身を覆う。火食せず、禽獣を噬う。或いは人を搏え以て食らう婦人得て以て衣服治めしむ。其の国、連山数十里、峡あり。固むるにを以てし、関門と号す。新羅、常に弩士数千屯し之を守る。 — 新唐書、巻二二〇・東夷伝新羅 中国語版ウィキソースに本記事関連した原文あります新唐書/卷220#新羅 新羅國、東南日本鄰、東與長人國接。長人身三丈、鋸牙鉤爪、不火食、逐禽獸而食之、時亦食人。裸其軀、黑毛覆之。其境限以連山數千里、中有山峽、固以鐵門、謂之關。常使弓弩數千守之、由是不過。新羅国(中略)東(北)は長人国と接す長人の身は三丈、鋸牙鉤爪火食せず。禽獣を逐いて之を食らう時に亦た人を食らう其の軀を裸にし、黒毛もて之を覆う。其(新羅)の境限は連山数千(十)を以てす。中ごろ山峡有り固むるに鉄門を以てし、之を関と謂う。常に弓弩数千をして之を守らしむ、是に由りて過ぎず。 — 太平広記、巻四八一・新羅条 中国語版ウィキソースに本記事関連した原文あります太平廣記/卷第481#新羅 李成市は、「関門或いは関城」は新羅東北井泉郡に位置しており、そこには「炭項関門乃至は関城」という軍事施設があり、そこに隣接する東の集団渤海領域民以外にはあり得ず長人井泉以北渤海人とみて間違いなく長人新羅辺境軍事的緊張に密接に関係しており、長人異形食人描写からみて、長人恐怖対象となっており、長人人間とは異な身体的特徴食人描写人間女性捕らえて衣服作らせるという記事異形異類伝承であり、一般的に異民族は、人間異な身体的特徴をもつ異形とされ、敵対者或いは自らの理解越えたコスモロジーを持つ人は、人間でなく動物或いは妖怪の類であることが指摘され18世紀の『択里志』は朝鮮半島東北について以下記しており、朝鮮半島東北厳し自然環境は、飲食衣類欠乏及んでおり人々毛皮まとっており、長人記事の「黒毛もて身を覆う」や「婦人得て以て衣服治めしむ」内容は、18世紀至って衣服の類が欠乏していた朝鮮半島東北部実情仮託して創作されたとみなすこともでき、長人は、朝鮮半島東北人々習俗根ざし日常的な没交渉軍事的緊張加味され醸成され新羅人幻影所産であり、「新羅人にとって国境接す渤海人とは、異形であり、恐怖対象」「渤海人恐怖対象とするにいたった両者長期間にわたる没交渉軍事的緊張が、こうした説話醸成深くかかわっていた」と指摘している。 以北山川危険にして、風俗勁悍なり、土寒く痩せ、穀は惟だ粟麦のみ、粳稲少なく、綿絮無し土人を以て冬を禦ぐ、性飢寒堪えること一に女真如し、山に貂參饒く、民は貂參を以て南商の綿布換え方に衣袴を得んとす、然るに富厚に非ざる者は能わざる也。 — 択里志 李孝珩(朝鮮語: 이효형、釜山大学)は、「李成市『新唐書』長人傳承記事分析して渤海新羅の間に交渉がなかったことを明らかにした」と評している。

※この「新羅人の渤海認識」の解説は、「渤海 (国)」の解説の一部です。
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