政略・戦略
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/08 17:39 UTC 版)
政略レベルでは、まずオーストラリアおよびニュージーランドが英連邦離脱と日米との中立条約の締結を行った。この結果としてヨーロッパ戦線では兵力の供給源を失ったイギリス側に対して不利な情勢となっており、その結果として連合国側がアメリカから日本へと先に戦争を仕掛けさせた。この結果連合国はかえって乱れ、連合国寄りとはいえ中立を維持する国も現れた。独伊は自動参戦条項により何の問題も無く対米戦に突入し、連合国側は外交で大きな瑕疵を生んだ。また、この事により戦略レベルでは、史実では日本の防守するべき正面はインド洋やソロモン諸島まで広がってしまった。しかしながら、本作品ではオーストラリアが中立を宣言しているため米豪遮断作戦を実施する必要は皆無であり、その結果としてソロモン諸島での消耗戦は生起しえず、主な戦線がマーシャル諸島~マリアナ諸島の間でコンパクトに纏まっている(そのためか『遠き曙光』と『海の牙城』の間の太平洋が小康状態であった時期も、インド洋での戦いがあった等とは、今のところ書かれていない)。 史実では日本の戦争指導方針は長期戦と短期決戦の間で揺れ動き、緒戦では様々な面で長期戦体制への切替えが十分ではなかった。しかし、本作では大国であるアメリカから先に戦争を仕掛けられ、開戦当日のみならずその後も大きな損害を受け続けて守勢に回った事によって、最初から短期決戦での勝利が不可能となる。陸海の高級軍人の意識改革はこうした一種の恐怖感の元でスムーズになされた。そして長期戦を前提とした各種の施策(兵器の量産施策や搭乗員の有効利用策等)に力を入れることになる。 開戦初日の敗北はその象徴としても登場する。結果として日本側の作戦指導に好ましい結果をもたらしている姿が作品中では描かれている。 史実では無意味とまで評価された同盟国の有効活用も行なっている(本作では上記のようにアメリカから宣戦布告されたところに独伊と言う仲間が参戦してくれた経緯になっているのでその点だけを見れば無意味な同盟ではないが)。つまり、外交や戦略面での条件の変化と相まってヒトラーの判断を適切な物に変更しドイツを対ソ戦で勝たせる事により、枢軸側に大幅に有利な戦況を作り出した。第二次世界大戦では欧州が最も比重の大きな戦場であり、この改変は後に大きく影響する。修羅シリーズでは欧州戦の改変が十分なレベルではなかったが、本作ではより徹底している。
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