戦費の負担問題とは? わかりやすく解説

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戦費の負担問題

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/03 03:54 UTC 版)

ヴァイマル共和政のハイパーインフレーション」の記事における「戦費の負担問題」の解説

第一次世界大戦勃発前年である1913年度には、ドイツ帝国財政支出額は35億2000マルクであったが、戦争勃発後は激増一途をたどり、休戦となった1918年度財政支出額は4551000万マルクであったこの間歳入増加したものの歳出増加には到底追いつかない状況であり、巨額国債発行によって戦費を賄わなければならなかった。 もともとドイツ帝国歴史的な経緯から、構成する領邦ラント)の権限強く帝国ライヒ)の課税関税消費税などの間接税限られており、所得税のような直接税領邦権限とされていた。間接税税率低く課税技術未発達であったため、帝国増大する財政支出賄うことが困難で、やがて領邦から人口応じた貢納金を徴収するようになり、後には実質的な直接税賦課開始するうになる。しかし依然として間接税偏重傾向があり、財政制度欠陥となっていた。 第一次世界大戦勃発すると、ドイツではシュリーフェン・プラン影響から、当初短期戦であると見込んでおり、戦費国債発行によって賄う方針となった直接税領邦権限とされ、帝国直接税課税することに強い抵抗示したことの影響もあった。しかし短期決戦見込みなくなり1915年になって戦時特別課税開始された。参戦各国国債発行などの借り入れ戦費を頼らなければならなかったことは同様であったが、イギリスでは戦費の20.2パーセント租税賄ったのに対しドイツでは6.5パーセントにすぎなかったとされる大戦勃発危機が迫る1914年7月31日に、帝国銀行事実上銀行券の金兌換停止した。この措置は、帝国金庫券および銀行券に関する1914年8月4日法律によって事後的に承認された。この法律により、帝国銀行券と帝国金庫券の双方は金兌換義務免除された。さらに私立発券銀行保証準備として、金と関係のなくなった帝国銀行券を用いることを許されたので、私立発券銀行券も金兌換事実上停止した。そして鋳貨法の変更に関する1914年8月4日法律により、鋳貨と金貨の交換義務廃止されドイツ金本位制は完全に停止することになったまた、1914年8月4日貸付金庫法によって貸付金庫が設立された。帝国銀行は、帝国銀行券の発行当たって金準備以外の部分について確実な支払い義務者のある手形小切手などを保有することを定められていたが、貸付金はそうした対象とならない有価証券商品など担保として貸付金庫券を発行できるとされた。貸付金庫券は法的な支払手段ではなかったが、政府額面通り受理することになっており、さらに帝国銀行は、発券準備として貸付金庫券を利用できることになった。これにより帝国銀行準備義務は意味を失い、ほとんど何に対してでも担保として貸付金庫券が発行され、それが帝国銀行流れ込んでその3倍の額の帝国銀行券が発行されるようになった。 そして銀行法改正に関する1914年8月4日法律により、帝国銀行券が上限超えて発行されるときの紙幣税が廃止され帝国銀行発券保証準備として帝国財務省手形および帝国財務省証券用いることができるようになった。これにより政府は借金証文であるこれらの手形や証券帝国銀行に渡すことで、無制限に帝国銀行券を借り入れることができるようになった。こうして無制限にマルク紙幣増刷することができる制度整った金本位制停止され以降マルクを紙マルクパピエルマルク)と呼ぶ。 ドイツ政府は、戦争勝てば敗戦国連合国戦時賠償課すことで債務返済できる考えていた。これは資源富んだ東西工業地帯ドイツ併合し、また1870年ドイツフランス普仏戦争勝利したときの賠償英語版)のように現金支払いをさせることで実現しようとしていた。しかしドイツ政府考えていた戦略は、ドイツ敗戦したため失敗終わり新しく発足したヴァイマル共和政支払うことのできない巨額債務抱えることになり、経済的な裏付けのないままに紙幣増刷したことでさらに問題増幅することになった通貨発行残高は、大戦前の1913年帝国銀行21マルク帝国金庫1.1マルク私立発券銀行1.4マルク鋳貨37マルクの計61マルクであったが、大戦後1920年には帝国銀行540マルク貸付金庫券131マルク帝国金庫3.2マルク私立発券銀行券2.4億マルク鋳貨1.7億マルク合計679億マルク達していた。鋳貨大きく減少しているのは、帝国銀行金集政策により流通から引き上げられたためである。

※この「戦費の負担問題」の解説は、「ヴァイマル共和政のハイパーインフレーション」の解説の一部です。
「戦費の負担問題」を含む「ヴァイマル共和政のハイパーインフレーション」の記事については、「ヴァイマル共和政のハイパーインフレーション」の概要を参照ください。

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