応力テンソルとは? わかりやすく解説

応力

(応力テンソル から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/11 15:36 UTC 版)

連続体力学


応力
量記号 σ
次元 T−2 L−1 M
種類 2階テンソル
SI単位 パスカル (Pa)
FPS重力単位 重量ポンド毎平方インチ (psi)
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応力(おうりょく、ストレス: stress)とは、物体[注 1]の内部に生じる力の大きさや作用方向を表現するために用いられる物理量である。物体の変形破壊などに対する負担の大きさを検討するのに用いられる。

この物理量には応力ベクトル (stress vector) と応力テンソル (stress tensor) の2つがあり、単に「応力」といえば応力テンソルのことを指すことが多い。応力テンソルは座標系などを特別に断らない限り、主に2階の混合テンソルおよび混合ベクトルとして扱われる(混合テンソルについてはテンソル積#テンソル空間を参照)。応力ベクトルと応力テンソルは、ともに連続体内部に定義した微小面積に作用する単位面積あたりの力として定義される。そのため、それらの単位は、SIではPa (N/m2)、重力単位系ではkgf/mm2で、圧力と同じである。

異なる定義

応力という物理量は、分野によって全く異なる使われ方がなされている。即ち、土木・建築分野においては連続体内部の面にかかる力(単位:ニュートン(N))のことを応力と呼び、その単位断面積当たりの力を「応力度(stress intensity)(単位:N/m2 = Pa)」と呼んでいる[1][2][3]

応力の定義の違い
物理量 計量法、物理学、材料工学、機械工学など 土木・建築分野
力(単位:N ) 応力
単位断面積当たりの力(単位:N/m2 = Pa) 応力 応力度

以下では、計量法体系の定義[4]にあるとおり、応力を「単位断面積当たりの力」の意味で用いる。

応力ベクトル

応力ベクトルとは、物体表面あるいは物体内に仮想的な微小面を考えたとき、その微小面に作用する単位面積あたりの力であり、ベクトル(1階のテンソル)で表される。後述する応力テンソルの説明にあるように、応力テンソルσの各成分の第1の下添字は「応力成分を考えている微小面の法線の向き」を、第2の下添字は「考えている微小面に作用する力の向き」をそれぞれ表している。このことから明らかなように、微小面の単位法線ベクトルを n とすると、その微小面での応力ベクトル t は次のように与えられる。

応力テンソルの座標変換

真応力はテンソル量であり、座標系によってその成分は変化することとなる。以下のように座標系を変換する。

2次元における一般的な応力状態
2次元における主応力面

平面応力状態では σz, τyz, τzx が 0 なので、主応力は以下の関係から求められる[11]


応力テンソル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 22:53 UTC 版)

応力」の記事における「応力テンソル」の解説

応力テンソルは、応力ベクトル定め方の違いから、真応力テンソル・コーシー応力テンソル、公称応力テンソル・第1パイオラ・キルヒホッフ応力テンソル、第2パイオラ・キルヒホッフ応力テンソル3種類が定義されておりいずれも行列形式記述できる)2階テンソルとなる。ただし、これらの応力テンソルに違い生じるのは有限変形理論基づいて物体運動記述した場合であり、材料力学応用力学多用されている微小変位微小変形仮定の下では、これらの応力テンソルはすべて真応力テンソルに一致する。 真応力テンソル(微小変形理論における応力テンソル)を σ で表すものとすると、その成分座標軸を x , y , z と定めた3次元デカルト座標の下では、 σ = ( σ x x σ x y σ x z σ y x σ y y σ y z σ z x σ z y σ z z ) ,   or ,   σ = ( σ 11 σ 12 σ 13 σ 21 σ 22 σ 23 σ 31 σ 32 σ 33 )   or ,   σ = σ i j ( e ie j ) {\displaystyle \sigma ={\begin{pmatrix}\sigma _{xx}&\sigma _{xy}&\sigma _{xz}\\\sigma _{yx}&\sigma _{yy}&\sigma _{yz}\\\sigma _{zx}&\sigma _{zy}&\sigma _{zz}\end{pmatrix}},\ {\mbox{or}},\ \sigma ={\begin{pmatrix}\sigma _{11}&\sigma _{12}&\sigma _{13}\\\sigma _{21}&\sigma _{22}&\sigma _{23}\\\sigma _{31}&\sigma _{32}&\sigma _{33}\end{pmatrix}}\ {\mbox{or}},\ \sigma =\sigma _{ij}({\boldsymbol {e}}_{i}\otimes {\boldsymbol {e}}_{j})} のように表されるei 等は座標軸 x , y , z 方向基底ベクトルである。このとき、各成分の第1の下添字は「応力成分考えている微小面法線向き」を、第2の下添字は「考えている微小面作用する力の向き」をそれぞれ表している。例えば、σxy とは、法線方向x 軸向き一致する微小面において考えている、y 軸方向の力の成分意味する。そのため、応力テンソルの成分には、微小面法線と力の作用方向一致する垂直応力 (normal stress) 成分と、一致しない異なっている)せん断応力 (shear stress) 成分2種類分類することができる。

※この「応力テンソル」の解説は、「応力」の解説の一部です。
「応力テンソル」を含む「応力」の記事については、「応力」の概要を参照ください。

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