物質客観性の原理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 06:43 UTC 版)
材料固有の性質は観測者(標構)によらず不変である。これを物質客観性の原理、あるいは物質標構無差別性の原理という。例えば、ある配置での構成式を形式的に σ = F ( F ) {\displaystyle {\boldsymbol {\sigma }}={\boldsymbol {\mathcal {F}}}({\boldsymbol {F}})} と書く。ここで、σ はコーシー応力テンソル(英語版)、F は変形勾配テンソルであり、F は材料の構成関係を表すテンソル値テンソル関数である。物質客観性の原理を満たすためには、観測者の変化に対して構成式は不変でなければならない。言い換えれば、上式を考えた配置に対して剛体並進・回転だけの付加的な運動が生じても、関数 F の形は変わらないものでなければならない。直交テンソル Q ∈ SO(ndim) により表される剛体回転の運動を考えると、この剛体回転が生じた後の配置でのコーシー応力テンソル σ* と F* はそれぞれ σ ∗ = Q σ Q T , F ∗ = Q F {\displaystyle {\boldsymbol {\sigma }}^{\ast }={\boldsymbol {Q}}{\boldsymbol {\sigma }}{\boldsymbol {Q}}^{\mathrm {T} },\quad {\boldsymbol {F}}^{\ast }={\boldsymbol {Q}}{\boldsymbol {F}}} となる。物質客観性の原理を満たすためには、剛体回転後の配置におけるこれらふたつの量に対する構成式は σ ∗ = F ( F ∗ ) ⇌ Q F ( F ) Q T = F ( Q F ) {\displaystyle {\boldsymbol {\sigma }}^{\ast }={\boldsymbol {\mathcal {F}}}({\boldsymbol {F}}^{\ast })\quad \rightleftharpoons \quad {\boldsymbol {Q}}{\boldsymbol {\mathcal {F}}}({\boldsymbol {F}}){\boldsymbol {Q}}^{\mathrm {T} }={\boldsymbol {\mathcal {F}}}({\boldsymbol {Q}}{\boldsymbol {F}})} でなければならない。
※この「物質客観性の原理」の解説は、「材料の構成式」の解説の一部です。
「物質客観性の原理」を含む「材料の構成式」の記事については、「材料の構成式」の概要を参照ください。
- 物質客観性の原理のページへのリンク