心の機能的構造物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/08 08:20 UTC 版)
「ジェリー・フォーダー」の記事における「心の機能的構造物」の解説
詳細は「Jerry Fodor on mental architecture」を参照 言語学者のノーム・チョムスキーの開拓した道を辿り、フォーダーは生得論に強く傾倒した。生得論は多くの認知機能・認知的な構想を先天的なものであると前提する。フォーダーにとって、この立場は行動主義および連合主義に対する彼自身の批判から自然と浮かび上がるものである。その批判を端緒として彼は、自身が暗黙に前提としていた心のモジュール性を定式化してもいる。 歴史的に、精神構造に関する問いは昨日の本質に関して二つの対照的な理論に分割されてきた[誰によって?]。その理論のうち一方は「水平的」観点と言われるもので、その呼称は心的プロセスを、領域特異的でない機能の相互作用と見なすことに由来する。例えば、判断は、それが知覚的感覚についての判断であろうと言語の理解についての判断であろうと判断である。理論のうちもう一方は「垂直的」観点と言われるもので、その呼称は人の心的機能が領域特異的で、遺伝的に決定されていて、神経構造と特異的に結びついていて、などなどと主張することに由来する。 垂直的観点は19世紀の骨相学と呼ばれる運動およびその創始者のフランツ・ヨーゼフ・ガルにまで遡る。ガルは、心的機能は物理的な脳内の領域と特異的に結び付けられると主張した[誰によって?]。このゆえに、例えばある人物の知性の水準は頭頂葉後部のある特定の隆起の大きさから、誇張なしに「読み上げ」ることができることになる。この、モジュール性の過度に単純化された見方は、20世紀中を通じて反証されてきた[誰によって?]。 フォーダーは、1980年代にまさにその物理的特異性の考えなしにモジュール性の考えを復活させ、1983年にモノグラフ『心のモジュール性』を発表するとともに最も能弁にモジュール性を提唱するものとなった。特にモジュール性の二つの特質、つまり情報の被包性及び領域特異性によって、機能の構造の問題とその心的内容を結びつけることが可能になった。こういった二つの特質によって可能となる個人の背景となる信念とは独立に情報を作り上げる能力によって、フォーダーは心的内容と言う考えの原子論的な原因の説明をできるようになった。主な考えは、言い換えれば、精神状態の内容の特性は、排他的にそれらがその一部分であるようなシステムの内的関係にのみ依存するというよりむしろ外的世界との原因の関係にも依存する。 フォーダーの心的モジュール性、情報の被包性、領域特異性といった考えは、フォーダーを悔しがらせたことではあるが、ゼノン・ピリジンのような認知科学者やスティーヴン・ピンカー及びヘンリー・プロトキンといった進化心理学者などによって取り上げられ、発展させられてきた。しかしフォーダーは、ピンカー、プロトキン、その他彼が皮肉を込めて「新統語派」と呼ぶ人々がモジュール性や類似の考えを本来のものから外れた使い方をしていると不満を表している。彼は、心は「大規模にモジュール的」なのではなく、これらの研究者が信じているのとは違って、心は計算機的に、あるいはその他のモデルで説明するにはまだ長い時間を必要としていると主張している。
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