完成車両の輸送方法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/26 20:00 UTC 版)
車両を製造している兵庫工場の周辺には山陽本線支線(和田岬線)と兵庫運河がある。完成した車両は以下の方法で運搬される。 和田岬線、山陽本線を通して鷹取駅(神戸貨物ターミナル駅)まで運搬後、各事業者の車両基地まで直接運搬(甲種輸送)。主にJRやJRと線路がつながっている私鉄・地下鉄が発注した車両がこの方法を使う。西日本旅客鉄道(JR西日本)在来線向けの車両や、日本貨物鉄道(JR貨物)の吹田機関区所属車両の場合は鷹取駅から自力回送することが多い。なお、国鉄時代は現在のJR西日本エリア以外の車両も鷹取から試運転を兼ねて自力回送されていた。 工場から甲種輸送によって最寄取り降ろし貨物駅まで輸送後、鉄道車両専用のトレーラーを使って、深夜帯に各事業者の車両基地まで運搬。主にJRと線路のつながっていない各私鉄や地下鉄が発注した車両がこの方法を使う。 工場から甲種輸送によって総合車両製作所横浜事業所に送り込む。京浜急行電鉄、東京都交通局(都営地下鉄浅草線)への新造車輸送に使われる方法で、1972年から1979年までは京成電鉄向けもこの方法を使用していた。標準軌台車への付け替えや最終整備は横浜事業所にて行われる。このためJR横須賀線逗子駅から京急逗子線を通って横浜事業所まではJRと同じ狭軌の線路が三線軌条形式で敷かれている。詳細は「京急逗子線#その他」、「逗子駅#総合車両製作所横浜事業所専用鉄道」、「総合車両製作所#横浜事業所回送線」、「日本車輌製造#車両輸送について」を参照。 工場から直接鉄道車両専用のトレーラーを使って鉄道事業者の受け取り設備まで道路輸送、地元警察の許可を得て真夜中に各事業者の車両基地まで運搬される。東海旅客鉄道(JR東海)発注の新幹線車両の鳥飼車両基地への輸送、山陽電気鉄道・神戸電鉄・神戸市交通局・京阪電気鉄道・大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)への新造車輸送がこの方法で行われている。新交通システムの車両の場合、車体が小さく一般的なトラックの荷台に積載可能なことから、専用のトレーラーは使わず一般的な大型トラックで輸送する。 工場裏にある兵庫運河から、貨物船を使って各鉄道事業者の最寄の港まで運搬。主に北海道地区(特に北海道新幹線H5系、札幌市営地下鉄)の車両や、JR西日本・東日本旅客鉄道(JR東日本)発注の新幹線車両はこの方法を用いる。なお、阪神・淡路大震災直後は、JR東海向け新幹線車両や京阪向け新造車も泉北港まで海上輸送され、そこからトレーラーで車両基地へ陸送された。また、西日本鉄道向けの新造車はトレーラーを用いた陸送と海上輸送を組み合わせており、六甲アイランドフェリーターミナルもしくは泉大津港フェリーターミナルまで陸送し、門司港までカーフェリーで輸送し、門司港から筑紫車両基地まで再び陸送する。 JR東日本の新幹線直行特急用車両の場合、車両の寸法は在来線と同程度であるため在来線を甲種輸送する場合もあるが、一部はフル規格の車両と同じく海上輸送されている。 日本国外への輸出車両については通関手続のために神戸港までトレーラーで輸送されるが、工場内の岸壁から直接船積みされる場合もある。
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