媒体と対象
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/01 04:28 UTC 版)
昭和の戦中期に、兵庫県の少年が特注のアルマイト録音盤カッティングマシンを用いて空襲警報などを録音した事例および、旧制東京都立工芸学校の学生が自作のアセテート盤カッティングマシンで当時のニュースや音楽番組を録音した事例が存在し、いずれも録音盤が現存する。 日本ではFM放送開始以降、「エアチェック」の語は特にFMラジオ放送の私的録音について用いられるようになり、FMチェックとも呼ばれた。ラジオの電波ではAM放送よりもFM放送の方が音質が優れていることから、エアチェックの対象はもっぱらFM放送局に移った。 日本では1970年代後半に、磁気テープによる音声録音媒体であるコンパクトカセット規格のカセットテープが広く普及。それまでのオープンリールよりも安価で扱いやすく、また満足できる音質水準であったことから、同時期に実用化されたFM放送を録音して繰り返し楽しむことが一般的となった。なお、カセットテープ普及期にあっても、オープンリールは音質を重視するオーディオマニアに重宝された。 エアチェックの対象は、ラジオの音楽番組が一般的だった。1950年代から1990年代まで、音楽媒体の中心はレコードであったが、のちの音楽パッケージに比べると高価なもので、庶民層がレコード作品を多く買い揃えることは困難であった。エアチェックはより安価に音楽需要を満たす手段となった。 民放FM局の開局が進み音楽アーティストによる深夜放送が盛んに実施されるようになると、エアチェックを趣味とする人々を読者の対象とした「FM情報誌」が相次いで創刊された。放送される楽曲と再生時間を示したプレイリスト付きの番組表が毎号掲載され、読者はそれを参考にエアチェックを盛んに行った。 用いられる録音媒体はコンパクトカセットからMD、CD-Rに移り変わった。オーディオマニアの中にはDAT規格のカセットテープを用いる動きもあった。 テレビ番組の録画には、1970年代ごろからは各規格のビデオテープレコーダ(VHS、ベータマックスなど)が、1990年代に入ると光ディスク(DVD、BDなど)が用いられるようになった。このようなリムーバブルメディアを用いず、内蔵のストレージドライブに録画する機種も普及した。なお、ビデオテープレコーダの普及期には、ラジオの高音質録音の方法として、ビデオテープレコーダにPCMプロセッサーを接続し、ビデオテープをDATのように用いる利用法も見られた。
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