媒体と目標の特性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 09:42 UTC 版)
「光波ホーミング誘導」の記事における「媒体と目標の特性」の解説
物体からの熱放射には、プランクの法則、キルヒホッフの法則、シュテファン=ボルツマンの法則、ウィーンの変位則の4つの法則があてはまり、放射される赤外線の周波数は、その温度に規定される。しかしその様々な波長の赤外線のなかで軍事利用されているのは、大気の透過率の高いものと、検知器の利用できるものが合致した特定の波長帯であり、おおむね、可視より少し長い波長から12マイクロメートルまでに限られる。 車両・艦艇 数度程度高い車体/船体と、やや高温の機関部から構成されており、約10µmをピークとする放射がある。アスペクト角によって放射強度が大きく変化するほか、特に長距離での捕捉においては地球の曲率の影響を強く受ける。 背景は地表、海面等から構成されており、コントラストが比較的小さく、クラッターの影響が大きい。 航空機・巡航ミサイル 航空機では、多くの場合、機体の後部において高温のジェットエンジンやその排気による放射が、また前縁を中心に機体全体において空力加熱(空気に機体がぶつかることで断熱圧縮される)による放射がある。排気によるもの: 機体後部の排気口の3マイクロメートル(µm)程度をピークとして、後方に排出されるジェット排気(プルーム)においては、加熱された二酸化炭素ガスを中心として、5µm程度までの赤外線が放射される。 空力加熱によるもの: ほぼ10µm帯(波長8〜12µm)に相当する。 背景は空や雲、地平線/水平線などにより構成されており、比較的大きなコントラストがある。 なお赤外線は、周波数の特性上、電波よりも大気圏内での透過性が低い。このことから、旧西側諸国においては、視程外射程のAAMにはレーダー誘導を、視程内射程のミサイルにはIRH誘導を採用していることが多い。一方、旧東側諸国においては、標的の回避を困難にして命中確率を向上させるために、レーダー誘導と赤外線誘導の2種のミサイルを同時に発射する戦法をとることから、視程外射程のAAMにもIRH誘導を採用している場合がある。 弾道ミサイル 大気圏再突入時、再突入体は極超音速(IRBMでも秒速2km程度、ICBMであれば秒速約7km程度)となることから、空力加熱により数千度以上に加熱され、短い波長の放射を多く出す。
※この「媒体と目標の特性」の解説は、「光波ホーミング誘導」の解説の一部です。
「媒体と目標の特性」を含む「光波ホーミング誘導」の記事については、「光波ホーミング誘導」の概要を参照ください。
- 媒体と目標の特性のページへのリンク