姿勢・歩行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 12:10 UTC 版)
恐竜はそれ以外の多くの爬虫類とは異なり、胴体の直下に四肢を持つ。この特徴は、側方型の四肢に比べて体重を支えるのに都合がよく、大型化したグループが出現する素地となったとする考えがある。また、歩行の際に身体を捻る必要がないため、軽快な移動を可能にしている。 この特徴はやや遅れて哺乳類も獲得しているが、異なる点としては、恐竜は二足歩行の種が多い点である。これは、二足歩行が初期主竜類から受け継いだ、祖先的な形態だからである。初期主竜類の中でもユーパルケリアなどは身体の作りが軽快であり、一時的な二足歩行を可能としていた(現生のエリマキトカゲに近い動きだった)。竜脚類や鳥盤類の一部の様な四足歩行の恐竜は、体重の増加等の理由で二次的に四足歩行に復帰したものである。このためか、四足歩行の恐竜でも体重の大半は後足が支える形となっている。この特徴的な2足歩行かつ爪先立ちという姿勢は、その後の恐竜の繁栄にとって欠かせない要因の一つとなった。 元より軽量な小型恐竜は別として、跳躍走行(脚が全て地面から離れ、一瞬身体が宙に浮く移動方法)が可能だったのは大型恐竜ではアロサウルスのような大型獣脚類のみだったとされている。 恐竜の二足歩行はヒトとは異なり、後足を中心に長い尾によって上半身と下半身のバランスをシーソーのようにとっていたと考えられている。恐竜の巨大な尾はバランスを取るための必然であり、ティラノサウルスおよび近縁の属に見られる縮小した前肢は、巨大化した頭部と釣り合いを取るためだとされる[要出典]。 かつてのように、尾を引きずりながら歩く復元では巨大な尾は邪魔にしかならないため、2016年現在間違いとされている[要出典]。 一方、胴体の横から足が生えている側方型の爬虫類、例えばトカゲは胴体をくねらせて歩行する、いわば爬行を行っている。この方法では四肢を側方に突き出した姿勢で身体を持ち上げているため、エネルギー効率が悪い。また肺を圧迫するために呼吸が阻害され、長時間の走行を困難にしている。 カメは四肢が側方に生えておりながらも胴体が甲羅に覆われて可動性を持たないため、爬行を行えない。そのため四肢により胴体を持ち上げて歩行を行っているが、歩行能力は一般に優れているとは言えず、歩行速度の遅い動物の代表格扱いされている。またワニは、トカゲに比べて胴体の可動性がやや乏しいために、胴体をくねらさない。また、短距離ではあるとはいえ、ギャロップで走行することが可能なものも存在する。ただし、ワニは恐竜に近縁なグループであり、祖先は胴体直下に直立した四肢を持っていた。そのため、かれらの四肢を突き出した姿勢は半水生の生態に適応した二次的なものである。またカメもワニなどに近縁な主竜形類であるため、祖先は胴体直下に四肢を持っていたが、甲羅の発達にともない二次的に四肢が側方へと突き出す形となったとする仮説もある。 恐竜の二足歩行形態は、現在では子孫の鳥類へと受け継がれている。しかし、祖先と異なる点としては、尾が短縮したことで重心が前方へと移ったため、大腿骨がほぼ身体に対して水平に保持されていることである。そのため、歩行は膝関節を中心としたものとなっている。
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