奈良県・三重県における近鉄
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 16:12 UTC 版)
「近畿日本鉄道」の記事における「奈良県・三重県における近鉄」の解説
近鉄が多く路線を保有する奈良県および三重県においては、近鉄はJRよりはるかに運転速度・規格・本数などで勝っている面が多い。また、四日市駅と近鉄四日市駅、奈良駅と近鉄奈良駅など、同県のある地区にJRと近鉄の2社の代表駅がそれぞれ別の場所に設けられている場合、それぞれの沿線人口の違いもあり、JRの駅前は閑散としているのに対して、近鉄の駅前は繁華街に近いというのが一般的である。そのほか、官庁の出先機関や市役所、企業の支店・営業所なども近鉄の駅を利用する方が便利というケースが多い。日本国有鉄道(国鉄)時代から国有鉄道の意義が低く、近鉄の意義が沿線住民には高かったからである。 これは、同地区の国鉄線を建設したのが元々関西鉄道・参宮鉄道などといった私鉄であり、鉄道国有法に基いてそれを国有化した後は一地方路線扱いとしてほとんど投資がなされなかったため、国鉄時代には近鉄と並行する関西本線・奈良線などは都市近郊路線にもかかわらず、非電化・単線の時代が長く続いているといった状況となったからである。これに対して、近鉄の元となる大阪電気軌道・参宮急行電鉄は、始めから高規格の高速運転を行う路線として主要路線を建設し、さらに買収路線(伊勢電気鉄道を買収した名古屋線、奈良電気鉄道を買収した京都線など)を含めて何度も複線化・線形改良などを行い、速達列車を多く設定したため、輸送において国鉄よりはるかに優位に立つことができた。 国鉄分割民営化後は、JR西日本が大和路線・奈良線・おおさか東線・和歌山線・桜井線(万葉まほろば線)といった「アーバンネットワーク」の一部路線で近鉄との対抗として大和路快速などの速達列車を設定したり、JR東海が名古屋駅 - 鳥羽駅間に快速「みえ」を走らせたりするなど、国鉄時代に比べて大きく改善されているが、それでも、列車本数等で近鉄が有利である区間が多い。 そのため、奈良・三重両県において近鉄グループは、鉄道やバス(奈良交通・三重交通)などの交通事業、不動産やホテル・百貨店などの付帯事業において強い影響力を持ち、両県では「近鉄王国」と称されているほど、県民にとって近鉄グループは生活に欠かせないものとなっている。一例として、古くから皇室関係の奈良・三重方面への移動には京都や近鉄名古屋から近鉄を利用することが多く、このことからお召し列車の運行実績も他私鉄に比べて多い。また、毎年1月4日の内閣総理大臣の伊勢神宮参拝に関しても慣例的に近鉄特急が利用される。 また、両県においては交通事業のほかに、近鉄百貨店に代表される流通事業、KCN(近鉄ケーブルネットワーク)や奈良テレビ放送に代表される通信・サービス事業、近鉄不動産に代表される不動産・開発事業、都ホテルズ&リゾーツ(奈良ホテル(2019年3月31日に都ホテルズ&リゾーツを脱退、翌4月1日よりJRホテルグループ・JR西日本ホテルズに単独加盟)・志摩観光ホテルなど)に代表される観光・レジャー事業など、近鉄グループ各社の影響を大きく受けている。 他には南都銀行や柿の葉寿司本舗たなか、また三重テレビ放送や百五銀行・赤福など、グループ企業ではないものの、近鉄との関わりの強い企業も非常に多い。 大阪と奈良の間では、JR西日本の大和路快速などが走る大和路線と競合関係にある。 名古屋と三重県下の間では、JR東海の快速「みえ」などの関西本線・紀勢本線・参宮線の列車と競合関係にある。
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