奈良県の参加
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 05:37 UTC 版)
奈良県は地理的に関西圏ではあるが、設立当初からの参加を見合わせた理由として、責任の所在の不明瞭化や権限の調整、経費増大など、上位自治体の設置に伴う弊害が様々に見込まれること、同等の事務は広域連携を充実させるだけでも達成可能であるとの考え、住民の身近で行うべき行政に距離感が生じてしまい、とりわけ、県が課題としている南部の地域振興に悪影響が及ぶと予想されること、大阪府に編入されていた明治時代に災害復旧費が十分に廻ってこなかったことから来る危惧、および、後から参加することも可能であることを挙げている。 歴史的文化遺産の宝庫である奈良県は関西の観光の目玉であるにもかかわらず、同県が参加を見合わせていることから、関西広域連合はこれをPRに活かせないでいる。特に、国際向けの観光PR事業で「奈良」を欠くことは無視できない大きなマイナス要素であり、関西広域連合と奈良県は歩み寄りが望まれつつも、互いに関係を計りかねている。また、奈良県民の中にも不参加が招く将来的悪影響を懸念する声がある。 こうした動きを受けて、奈良県の荒井正吾知事は2015年6月の奈良県議会での所信表明演説で、災害時の広域防災体制の強化と観光客誘致促進などの効果をさらに高めることを目的に、関西広域連合への参加の意向を表明した。なお、奈良県が部分参加するのは、関西広域連合が扱う7分野の事務(下記の「広域行政の内容」を参照)のうち、「広域観光・文化振興」と「広域防災」の2分野である。 関西広域連合は、奈良県の加入に伴う関西広域連合広域計画の改定案を2015年11月に関西広域連合議会の臨時会に上程し、2015年12月4日規約改正が総務大臣に許可され、奈良県が関西広域連合の構成団体として正式加入した。 しかし、その後2016年4月に、リニア中央新幹線の停車駅誘致をめぐり荒井知事が「京都や関西広域連合とは絶対に仲良くしてはダメ」と発言するなど、現在でも両者の間にやや距離がある状態が続いている。
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