報酬と待遇
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 16:05 UTC 版)
大半のAV女優はAV事務所(AVプロダクション)に所属しており、マネージメントされる立場にある。AV女優は労働者派遣法の有害業務にあたることから労働者ではなく、個人事業主として扱われる。一般的にAVメーカー(制作会社)からの出演依頼を取り付け、初めて撮影となり、収入が得られる。新人AV女優は仕事を得るためにマネージャーと共にメーカー回りをして、ようやく仕事(収入)が得られる。このメーカー回りのことを業界用語では「面接回り」と言うが、一般的に言えば「オーディション」である。つまりメーカーの存在無くしては存在しえない職業であり、この部分で労働者的側面のある職業であると言える。また、プロダクションはマネージメントだけでなく、撮影現場でのトラブルの解決も重要な仕事の一つである。 マネージメント料は高額で、村西 (2011) は折半としているが、いのうえ (2012) では事務所7、女優3が多く中には折半もみられるとしている。中村 (2012) は折半は良心的な方であり、60 - 70%はプロダクションに流れるとしている。プロダクションから独立して独自にAVメーカーと契約することも可能ではあるが、適切な出演料を提示できなかったり、あるいは逆に買い叩かれてしまうなど困難が多い。ただし企画女優においては長期間成功しているケースもみられる。桃宮ももは事務所の許可を得てフリーとして活動しており、「自分で営業して取った仕事のギャラは100対0で入るが、中々仕事がないのでバイトしている」と語っている。 門倉貴史による「風俗産業で働く女性の時給ランキング(2006年版)」によると、風俗産業の中でもAV女優の時間あたりの給料が最も高い。トップは「単体もの」のAV出演で時給3万1000円〜で、「単体もの」は1回のビデオ出演毎に80万円〜150万円程度のギャラを受け取ることが出来ると言う。撮影現場で拘束される時間は2日程度になるから、時給に換算すると1万7000円〜3万1000円程度。ただし、AV業界には、「出れば出るだけ価値が下がる」と言う法則があると言われる。峰なゆか、小室友里も同様の指摘をしている。 「職業としてのAV女優」の著者・中村淳彦によると、志望者数の増加などで競争率が上がっており、供給高状態であるが容姿の採用条件は厳しくなる一方、学歴や教養、資格は全く要らないこと、また健康保険や厚生保険、労災保険などがない個人契約であることなどから、その待遇は悪化傾向であり、企画女優では複数回の本番を行う場合でもプロダクションの取り分を引いた手取りが時給換算で2000円といった例も見られるようになった。 前述の峰によれば、一時期と比べるとAV1作あたりの売上本数が減り、その制作費は下がっており、それに伴い真っ先にAV女優の出演料も低下している。また、進行形で出演料は下がり続けているという。また、AV女優人口が増え1人あたりの仕事量が減ったことも背景として挙げている。中村 (2012) によれば出演料は辛うじて横ばいであるものの、長引く不景気により作品のクオリティや内容の過激さが要求されるため、AV女優の仕事内容も以前より過酷となってきている。年々悪化してきており、バイトしながら続ける者や自主制作する者もいる。ファンクラブの運営からもぎりまで自分でやる女優もいる。 小室は『くだまき八兵衛』の中でAV界の出演料の裏事情を明かしている。小室は現役時代に出演料のうち3分の2が所属事務所の取り分となっていた。前述の通り、AV女優は出演本数を重ねていくごとに出演料が減る。出演料が減額しても女優には毎月同額を支払えるように、事務所は減額分を補填している。
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