地震による原子力災害への警鐘
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「高木仁三郎」の記事における「地震による原子力災害への警鐘」の解説
1995年、『核施設と非常事態 : 地震対策の検証を中心に』 を、「日本物理学会誌」に寄稿。「地震」とともに、「津波」に襲われた際の「原子力災害」を予見。 「地震によって長期間外部との連絡や外部からの電力や水の供給が断たれた場合には、大事故に発展」 するとして、早急な対策を訴えた。 福島第一原発 について、老朽化により耐震性が劣化している「老朽化原発」であり、「廃炉」に向けた議論が必要な時期に来ていると1995年の時点で指摘。 加えて、福島浜通りの「集中立地」についても、「大きな地震が直撃した場合など、どう対処したらよいのか、想像を絶する」と 、その危険に警鐘を鳴らしていた(以下は、引用)。 『考えられる事態とは、(中略) 地震とともに津波に襲われたとき 』 『原子炉容器や1次冷却材の主配管を直撃するような破損が生じなくても、給水配管の破断と 緊急炉心冷却系の破壊、非常用ディーゼル発電機の起動失敗といった故障が重なれば、メルトダウンから大量の放射能放出に至るだろう』 『老朽化原発が大きな地震に襲われると、いわゆる共通要因故障(一つの要因で多くの機器が共倒れする事故)に発展し、冷却材喪失事故などに発展していく可能性は十分ある』 『原発サイトには使用済み核燃料も貯蔵され、(中略) 集中立地が目立つ(福島浜通り、福井県若狭、新潟県柏崎、青森県六ヶ所村など)が、どう対処したらよいのか、想像を絶する (中略) これから徹底的に議論し、非常時対策を考えて行くべき』 『「原発は地震に対して大丈夫」という言い方は、上述のような疑問や不確かさに対して、すべてを楽観的に解釈した場合にのみ成り立つもの(中略)。 国や電力事業者は、「原発は地震で壊れない」ことを前提にしてしまっているため、そこから先に一歩も進まず、地震時の緊急対策を考えようとしない』 『行政側(注:通産省)にも事業者側にも原発の安全性を見直して、この大災害(注:阪神・淡路大震災)をよい教訓にするという姿勢が少しも見られなかった』 『「原発は壊れない」建て前になっているため、今のような機会(注:阪神・淡路大震災の教訓) を生かして、原発が被災した場合の緊急時体制や老朽化原発対策などを真剣に考えるという姿勢もまったくみられない』 『 そのような事態を想定して原発の安全や防災対策を論じることは、「想定不適当」とか「ためにする議論」として避けられてきた。 しかし、(中略) 考えうるあらゆる想定をして対策を考えていくことが、むしろ冷静で現実的な態度と思われる』 茨城県・東海第二原発でも、外部電源が途絶、非常用発電機にも障害が発生。 翌月の地震では、宮城県・女川原発で外部電源の遮断により燃料プールの冷却が停止。 2005年に運転開始の青森県・東通原発でも、外部電源が途絶、非常用のディーゼル発電機が、燃料漏れ等で、一時、全てが使用不能となるなど、メルトダウンにつながりかねない異常事態が頻発、高木の想定は、現実の危機となっている。
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地震による原子力災害への警鐘
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「原子力資料情報室」の記事における「地震による原子力災害への警鐘」の解説
設立者の高木は1995年、『日本物理学会誌』に『核施設と非常事態 ―地震対策の検証を中心に―』を寄稿し、地震・津波による「原子力災害」の発生を「想定」していた。この中で、浜岡原子力発電所・福島第一原子力発電所を含め、全国数か所の原発について指摘し、警鐘を鳴らしていた。 『考えられる事態とは、(中略) 地震とともに津波に襲われたとき』 『(地震により)外部からの電力や水の供給が絶たれた場合には、大事故に発展しよう』 『老朽化原発が大きな地震に襲われると、 いわゆる共通要因故障(一つの要因で多くの機器が共倒れする事故)に発展し、冷却材喪失事故などに発展していく』 『給水配管の破断と緊急炉心冷却系の破壊、非常用ディーゼル発電機の起動失敗といった故障が重なれば、メルトダウンから大量の放射能放出に至るだろう。』 『原発サイトには使用済み核燃料も貯蔵され、(中略)集中立地が目立つ(福島浜通り、福井県若狭、新潟県柏崎、青森県六ヶ所村など)が、どう対処したらよいのか、想像を絶する (中略) これから徹底的に議論し、非常時対策を考えていくべき』 『行政側(注:通産省)にも事業者側にも原発の安全性を見直して、この大災害(注:阪神・淡路大震災)をよい教訓にするという姿勢が少しも見られなかった。』 『そのような事態を想定して原発の安全や防災対策を論じることは、「想定不適当」とか「ためにする議論」として避けられてきた。 しかし(中略)考えうるあらゆる想定をして対策を考えていくことが、むしろ冷静で現実的な態度と思われる。』 『核施設と非常事態 : 地震対策の検証を中心に』 「日本物理学会誌」 Vol.50 No.10, 1995
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