緊急炉心冷却
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/30 02:58 UTC 版)
緊急炉心冷却に対する思想もWH社のそれとは異なっている。WH社の場合、アメリカの規制に従い、緊急炉心冷却装置の減少効果を考慮せずに崩壊熱、蓄積エネルギー、1次系冷却材全てが瞬時に放出されることを前提としている(格納容器は崩壊熱用のバッファであり、スプレイ系と冷却器によって除去される)。これに対して西ドイツでは緊急炉心冷却系の設計思想が異なり、沸騰に至る前に崩壊熱を除去するような設計思想としている。具体的には冷却水の注入率を上げて沸騰を防止したり、冷却器を炉心冷却系の長期的再循環部分とするといったもので、蒸気発生を伴わずに作動するためスプレイ系が省略できるようになった。内部の圧力降下は凝縮熱により行う。規制規格の多くはKTA safty Standardにより制定されている。 また、緊急炉心冷却系統は独立した系統を4つ設置して多重化されている。各系統は高圧安全注水ポンプ(HPSIP)1基、アキュムレーター2基、低圧注水ポンプ(LPIP)1基で構成される。緊急給水系を4系列の設計としたことでポンプや重要なバルブは全て原子炉保護系によって制御するように自動化されており、スリーマイル原子力発電所事故で事故を誘発したバルブの不適切な開閉位置でも系は適切に機能し冷却と余熱除去を行うという。 なお、制御棒、ホウ酸濃度も完全に自動制御としている。
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