緊急特別改造工事
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/28 07:34 UTC 版)
その後、事故防止と緊急避難の設備の整備のするため「緊急特別改造工事」が1951年10月末までの約6箇月の期間と計約366百万円の費用をもって実施されており、担当は大井、大宮、吹田、豊川、幡生、松任、長野、盛岡の各工場(工事施行)および浜松工場(部品製作)であった。電車緊急特別改造工事の実施項目と施行両数、実施内容は以下の通り。 連結部の貫通路の整備(貫通幌新設(1500両)/幌座新設(1500両)/貫通路塞ぎ新設(500両)):乗客が少なくとも2両以上を貫通路を通じて移動できるよう、車両の上り方貫通路には貫通幌、渡り板と手摺を、下り方貫通路には幌座、渡り板と手摺を整備し、また、編成内で貫通扉のない運転台付車両と連結する車両の貫通路には貫通路塞ぎ板を設置。 車内非常通報装置新設(2550両):車内での火災や急病人等の発生時に乗客から乗務員へ通報するための客室内に非常スイッチと非常ブザー、車体側面にオレンジ色の車側灯、乗務員室内に非常スイッチを設置。 車内非常通報装置を24 Vに改造(2200両):上記車内非常通報装置は当初電動発電機による直流100 V電源を使用していたが、架線停電時にも使用できるよう、電源を直流24 Vとするとともに電動車・制御車の偶数車に24 Vの蓄電池を搭載して電源とする改造を第2次改造として実施し、1951年11月1日に一斉に切換えている。 戸ジメコック増設(2460両):従来車両床下の片側のみに設置されていた、車両のすべての扉を解放できる総合ドアコックを反対側の床下および客室内に増設。 パンタグラフ車体取付部の二重絶縁化(1248両):1932年以前のPS2パンタグラフ装備車はパンタグラフ取付部が二重絶縁であったが、PS11以降のパンタグラフは碍子を介したのみで屋根に設置されていた。これをパンタグラフ枠 - (碍子) - 取付ボルト - (絶縁材のパンタグラフ取付台) - 車体という形で二重絶縁とし、碍子破損もしくはパンタグラフ取付ボルト曲損時でも絶縁が保たれるようにするとともに、パンタグラフ損傷時の接地短絡を防ぐため、パンタグラフ周辺の絶縁を強化。 天井への防火塗料の塗布(1460両):パンタグラフ下部の天井面に防火塗料を塗布。 機器配線統一(160両)
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