天然ガスをコンプレッサーにより 10 ~ 25 メガパスカル程度に圧縮後、耐圧容器(シリンダータンク)に格納し船舶輸送することにより、インフラ整備コストの削減を目指した輸送技術(図 1 (1)(2))。 標準の LNG 船と比較して、船体自体が大きくなるのに加え、船体重量は約 2 倍程度と大きくなることから船価も増加するが、ガスを液化ではなく圧縮輸送するため、液化、再ガス化の過程が不要となり、出荷受入設備の大幅なコスト削減が可能となる。そのためプロジェクト全体(チェーン)のなかに再利用可能な資産( CNG 船)が占める割合が高いことが CNG ならではの特徴である(固定資産の最小限化)(図 2)。したがって輸送と出荷受入設備を含めたチェーン全体としては、中短距離の輸送の場合に経済性を有する。特に LNG プロジェクトとして立ち上げるには埋蔵量が 1 ~ 6 兆立方フィート程度と少なく、液化プラント等の大規模な設備投資には見合わない「ストランデッドガス田」の開発や、比較的消費地に近いガス田開発プロジェクトの場合に有利とされる(種々の条件次第であるが、輸送距離が約 2,000 海里以内で優位性を発揮し得る)(図 3)。商業設備はまだ存在しないが、各地においてフィジビリティースタディーが実施されている。輸送設備が大きい比重をしめることからわかるように、チェーン全体の経済性を高めるためには、いかに効率良く天然ガスを輸送できるか、すなわち、オペレーションの最適化(最適船型および最適隻数等の判断)が鍵となる。※米国エナシー(EnerSea)社が推進するボトランズ(Votras)方式を採用した CNG 船の場合、標準船型(容積 800 百万立方フィート)で約 2,400 本のシリンダータンク(ラインパイプ)を使用する計画 (後藤 譲、2006 年 3 月) CNG 船比較表 | | コセル方式 | クヌッツェン方式 | ボトランズ方式 (エナシー方式) | 貨物タンク容量 | | m3 | 32,700 | 77,100 | 74,260 | CNG 積載容量 | m3 | 900万 | 2,000万 | 2,000万 | ft3 *1 | 31,800万 | 7億 | 7億 | 貨物タンク数 | | 個 | 108 (=6 タンク/スタック×18 スタック) | 2,672 | 2,400 (=24 パイプタンク/モジュール×100 モジュール) | ホールド数 | | 5 | 12 | 12 | 主要寸法 | 全長 | m | 243 | 276.2 | 306 | 垂線間長 | m | 231.8 | 259.75 | 291 | 幅 | m | 38 | 54 | 50 | 深さ | m | 25.9 | 29 | 27.4 | 計画満載喫水 | m | 10.3 | 13.5 | 10.3 | 軽荷喫水 | m | 9 | 10.5 | 7.5 | 船級 | | | 米国船級協会によるコンセプト承認 | ノルウェー船級協会 | 米国船級協会による基本承認 | 貨物タンク比較 | 計画圧力 | MPa *2 | 20 | 25 | 13 | 格納温度 | ℃ | 常温 | 常温 | -30 | 材料 | | API 5LX70 | API 5LX80 | API 5LX80 | 外径 | in *3 | 6.625 | 42 | 42 | 降伏応力 | MPa *2 | 483 | 552 | 552 | 千重量ポンド/平方インチ | 70 | 80 | 80 | 板厚 | in *3 | 0.251 | 1.44 | 0.75 | 設計応力 | MPa *2 | 264 | 365 | 364 | 降伏応力/設計応力 | | 1.83 | 1.51 | 1.52 | 貨物タンク重量 | | t *4 | 4 万 8 千 60 | 10 万 2 千 800 | 4 万 9 千 900 | 貨物タンク重量トン/ CNG 積載容量百万立方メートル | | 5,340 | 5,140 | 2,495 | | 対ボトランズ方式 | 2.1 | 2.1 | 1 | 荷役方法 | 積荷/揚荷口 | | 半潜水型ターレット荷役 | 半潜水型ターレット荷役 | 半潜水型ターレット荷役 | 積荷温度/圧力 | ℃/MPa *2 | 常温/25 | 常温/25 | -29/13(船内で冷却) | 揚荷 | | | | 液体置換方式 | *1:ft3=立方フィート *2:MPa=メガパスカル、*3:in=インチ *4:t=トン" |