地化学分析

石油/天然ガス用語辞典

地化学分析

読み方： ちかがくぶんせき
【英】: geochemical analysis

石油探鉱における地化学分析としては、(1) 表層ガス（地表あるいは海水中に含まれるガス）の分析、(2) 地層水の分析、(3) 原油の分析、(4) 石油根源岩の分析がある。(1) 表層ガスの分析：表層ガス分析は、地表付近の土壌あるいは海洋中に含まれるガスの成分・濃度を分析するものであり、その目的は、炭化水素ガス（主にメタンやエタン）の分布の高濃度異常を検知し、これにより地下における石油鉱床の存在を推定することにある。指示成分としては、炭化水素ガスのほかにヘリウムなども有効であるとされている。(2) 地層水の分析：地層水（あるいは地表付近における地下水）中に含まれる、ある種のイオンや石油関連成分（指示成分）は、石油・ガスが生成されているか否か、石油・ガスの生成あるいは保存に良好な環境にあるか否かなどを知るうえでの重要な手掛かりとなる。したがって石油鉱床存在の可能性や、鉱床成立の過程を明らかにするための一つの手法として、地層水の分析による指示成分の検出が行われる。指示成分としては以下のようなものがある。 〈石油・ガスの直接指示成分〉……溶存炭化水素ガス、ベンゼン、有機酸。(3) 原油の分析：原油の分析は、原油と原油、あるいは原油と根源岩の対比（発見された原油がどの根源岩からもたらされたものであるかを知ること）を目的として行われる。対比は各サンプルの有機化学的特徴を比較することによって行われるが、比較のための有効なパラメーターとしては、バイオマーカー（ステラン、トリテルパン、イソプレノイド、ポーフィリンなど）、芳香族炭化水素の組成パターン、ケロジェンやビチューメンの炭素同位体比などが挙げられる。これらの対比および根源岩評価を総合することにより、石油の生成・移動・集積に対する地化学的な検討が行われる。(4) 石油根源岩の分析：石油根源岩の分析は、石油のケロジェン成因説に基づく根源岩評価のために行われる。根源岩評価には、根源岩中の有機物量、有機物の種類・型、有機物の熟成度の三つの要素があるが、それぞれ以下に示すような分析・測定が主として行われる。〈有機物量〉……全有機炭素量、炭化水素量、抽出性有機物量。〈有機物の種類・型〉……ケロジェンの顕微鏡観察、ケロジェンの主要元素（C、H、O）組成、ケロジェンの熱分解法（ロックエバル）。〈有機物の熟成度〉……ビトリナイト反射率、花粉・胞子の炭化度、エクジナイトの蛍光性、ロックエバルによるTmax温度、電子スピン共鳴吸収スペクトル（ESR）、ノルマルアルカンCPI（carbon preference index）、ナフテン指数（NI）