土壌の除染
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/20 04:17 UTC 版)
一般的な土壌の除染方法は、表土や芝・草の削り取りである。剥ぎ取り時に固化剤を併用する場合もある。他に水による攪拌、洗浄、表土と深層土の反転耕など。 土壌の剥ぎ取り 放射性セシウムについては全量の95%以上が存在する農地土壌の表層2.5cm以浅を物理的に除去することが効果的である。しかし除去した土壌を土嚢に詰める作業が煩雑であったり、作業員の被曝を防ぐなどの課題もある。また、剥ぎ取った後の土壌に栄養価の無い砂が敷き詰められ、農地として使えない問題も発生している。 芝生の刈り取り 芝生地においては、放射性物質は地上部のおよそ10mmにあるサッチ(芝の刈りカス)に大半が残留し、その下の土壌層にはほとんど移行しないため、サッチの回収のみで線量が大きく下がるという調査結果がある。この調査では、芝生を根こそぎ剥ぎ取ると、土壌が剥き出しとなり、風や降雨などでの土壌流出が深刻化するほか、斜面地等では降雨による土壌侵食が生じるため、サッチを丁寧に取り除くのみで除染を達成すべきと結論づけられた。 水による攪拌 水を用いる場合、土壌中のセシウムは粘土質に吸着されているため、粘土含量の少ない土壌では効果的に(粘土を巻き上げて)除去できない。通常水は固液分離後に排出されるが、水に放射性物質が溶出した場合、フィルターや吸着物で処理する。 反転耕 もしくは天地返し等も検討される。汚染物質を持ち出さない簡便な手段だが、放射性物質は除去されないので、高濃度汚染地域で行うには不向きである。また地下水の汚染が懸念される場合もある。 他にバイオレメディエーションとして高吸収植物による除染も考案されている。日本では2011年の福島第一原子力発電所事故を受けてヒマワリによる除染の実証実験が行われたが、除染効率が低く実用的でないと結論された。むしろヒマワリの周囲の雑草やキノコ(フウセンタケの一種やコウタケ)に多く放射性セシウムの蓄積が見られたと報告されている。 ゼオライトやベントナイトを用いる方法ゼオライトZeolithやベントナイトBentonit、珪藻土などの多孔質粘土類を使った除染が普及しつつある。家畜の飼料に混ぜ、放射性物質の体内蓄積を防ぐ予防目的においては、チェルノブイリ原発事故の後、ドイツのバーデン・ヴュルテンベルク州(Baden Würtemberg) の酪農の現場にて使用された。データ測定はベントナイト関連の企業などによって行われた。 2011年7月には、ロシアのベルラッド研究所がベントナイトなどを使った方法をネットのオープンソースなどとして日本の農業へ推薦した。 ゼオライトに磁性など改良を加えた人工ゼオライトを使用した除染は2013年現在、愛媛大学農学部環境産業応用化学の逸見彰男博士によって福島県各地において続けられている。 植物の重金属吸収度の測定はドイツ・ブラウンシュヴァイグのFAL研究所に精密な測定が存在し、その中ではバイオナミック農法に使用されるフラーデン・プレパラートが通常の値1.8mg/kgウランに対して0.5mg/kgウランという格差ある結果を記録している。
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