土壌の空隙率
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 05:34 UTC 版)
表土は粒径が小さくなるとともに空隙率が増大する。きめ細かい表土ほど土壌生物の活動の影響を受けて団粒構造を形成するが、団粒構造は土壌粒子の接着によって生じるため、圧密の効果を受けづらくなるのである。砂質土のかさ密度の典型値は1.5-1.7 g/cm3であり、これは0.43 - 0.36の空隙率に相当する。粘土土壌ではかさ密度1.1-1.3 g/cm3、空隙率0.58 - 0.51が典型値となる。粘土分に富む土壌が「重埴土」と呼ばれることを考えると、重いはずの粘土が高い空隙率を持つのは直感に反するかもしれない。しかし粘土が「重い」のは空隙率が低いためではなく含水率が高いためである。また、「重」は重量を指すというより、耕作用具で粘土質土壌を掘り起こすのに必要な力が砂質土壌よりも大きいことを含意する表現である。 下層土では重力による圧密のため空隙率は表土より低くなる。生物擾乱の発達した表土(biomantle)より下層に位置する、分級の悪い礫では空隙率が0.20となるのも珍しくない。土壌生成過程で団粒形成作用を受けない深度における、粒径の細かい物質はおおむねこれに近い空隙率を持つ。 土壌の空隙率は複雑である。旧来のモデルでは空隙率を@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}空間的に均一[訳語疑問点]とみなすが、土中の変則的な構造を考慮していないため近似的な結果しか得られない。またこのモデルには空隙構造に対する環境的な要因を取り込むことが難しい。このほかフラクタル、気泡理論、裂け目理論、Boolean(en)粒化過程、球充填など、より複雑なモデルも数多く提案されている。関連する概念として空隙構造の分析(en:Pore space in soil)がある。
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