国際紛争の平和的処理とは? わかりやすく解説

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国際紛争の平和的解決

(国際紛争の平和的処理 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/18 04:20 UTC 版)

国際紛争の平和的解決(こくさいふんそうのへいわてきかいけつ)は、国際紛争平和的に解決し、処理することである[3]国際紛争の平和的処理ともいう[3]。平和的解決と対をなすのは兵力による解決を表す「強力的解決」または「強制的解決」であり、その最も重大な場合が戦争である[3]。かつての国際法では平和的解決手続きと強力的解決手続きのどちらも認められ[4]、平和的解決手続きに失敗すれば武力行使を伴う強力的解決手段も認められていた[5]。しかし現代では国連憲章2条3項により国際紛争の平和的解決が義務として定められたほか、同2条4項で武力の行使、武力による威嚇が禁止され、ニカラグア事件国際司法裁判所判決では紛争の平和的解決義務が慣習国際法であることが確認された[4]。ただしこのような国際紛争の平和的解決義務は、平和的手段を用いるべき義務であって、平和的手段を用いた結果として国際紛争を実際に解決することまで義務付けられているわけではない[6]。平和的解決のための手段として具体的には、外交交渉周旋、仲介、審査、調停のような非裁判手続きのほか、第三者機関が紛争当事国に紛争解決を義務付ける裁判的手続がある[7]。これらの手続きのうちいずれを選定するかは、原則的に紛争当事国の自由であるが[8]、国際紛争の平和的解決に国際組織が介入することもある[9]


  1. ^ a b c d e 「交渉」『国際法辞典』、88-89頁。
  2. ^ a b c d e 杉原(2008)、405-406頁。
  3. ^ a b c 「国際紛争の平和的解決」『国際法辞典』、118-119頁。
  4. ^ a b c d e f 杉原(2008)、401-402頁。
  5. ^ a b 山本(2003)、677頁。
  6. ^ a b c d e 高田映「紛争の平和的解決義務」『国際法キーワード 第2版』、176-179頁。
  7. ^ 小寺(2006)、412-415頁。
  8. ^ a b 山本(2003)、678頁。
  9. ^ a b c d 山本(2003)、683-687頁。
  10. ^ a b 小寺(2006)、412頁。
  11. ^ 山本(2003)、677-678頁。
  12. ^ 小寺(2006)、409-410頁。
  13. ^ 「国際紛争」『国際法辞典』、118頁。
  14. ^ 酒井啓亘「国際請求の提出と外交的保護」『判例国際法』、452-457頁。
  15. ^ a b 杉原(2008)、403-405頁。
  16. ^ a b 山本(2003)、687-689頁。
  17. ^ a b c 杉原(2008)、402-403頁。
  18. ^ 李(2021)、15頁。
  19. ^ a b c 山本(2003)、679頁。
  20. ^ 山本(2003)、39-41頁。
  21. ^ a b 山本(2003)、679-681頁。
  22. ^ 杉原(2008)、406-407頁。
  23. ^ a b c d e f 山本(2003)、681頁。
  24. ^ 「周旋」『国際法辞典』、175頁。
  25. ^ 「居中調停」『国際法辞典』、69頁。
  26. ^ a b 杉原(2008)、407-408頁。
  27. ^ a b 「国際審査」『国際法辞典』、108頁。
  28. ^ 山本(2003)、682頁。
  29. ^ a b 小寺(2006)、418頁。
  30. ^ a b 杉原(2008)、408-411頁。
  31. ^ 小寺(2006)、419-420頁。
  32. ^ a b 「国際調停」『国際法辞典』、114頁。
  33. ^ a b 山本(2003)、682-683頁。
  34. ^ 富岡仁「ヤン・マイエン調停事件」『判例国際法』、515-517頁。
  35. ^ a b 小寺(2006)、431-432頁。
  36. ^ a b c d e f g h i 杉原(2008)、411-414頁。
  37. ^ a b 香西茂「国連事務総長の裁定 -レインボー・ウォーリア号事件-」『国際法判例百選』、164-165頁。
  38. ^ 薬師寺公夫「レインボウ・ウォーリア号事件」『判例国際法』、438-443頁。
  39. ^ a b 「地域的機関」『国際法辞典』、237頁。
  40. ^ 「地域的取極」『国際法辞典』、237頁。
  41. ^ a b 杉原(2008)、414-415頁。
  42. ^ 藤沢(2011)、232-226頁。
  43. ^ a b c d e 杉原(2008)、415-418頁。
  44. ^ a b c 小寺(2006)、422-430頁。
  45. ^ 杉原(2008)、418-420頁。
  46. ^ 「国際司法裁判所」『国際法辞典』、104-105頁。
  47. ^ a b c d e 小寺(2006)、428-429頁。


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国際紛争の平和的処理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/28 16:17 UTC 版)

国際紛争」の記事における「国際紛争の平和的処理」の解説

詳細は「国際紛争の平和的解決」を参照 国際社会19世紀以来幾度となく国際法において戦争違法化を推進してきた。しかし、それは歴史的にも困難をきわめてきた。たとえば、国際法上において初め国際紛争における戦争違法化を果たした不戦条約であるが、しかし、不戦条約第二次世界大戦阻止につながらなかったように、それは徹底して遵守されなかった。 国際紛争の平和的処理がはじめて採択されたのは、1899年開催され第1回ハーグ平和会議であり、1907年第2回ハーグ平和会議修正され国際紛争平和的処理条約成立した。これが第一次世界大戦後1921年国際連盟規約つながり1928年国際紛争平和的処理一般議定書第二次世界大戦後国際連合憲章続けて採択されてきたのも、まさに世界政府のないアナーキカルソサイエティ(無政府社会)といわれる国際社会において、「国際法という規範」と「各国家利益または武力中心としたパワー」とが相剋関係にあるためである。 国際法上国際紛争の処理手続きには、交渉(negotiataion)、周旋(good office)、仲介(mediation)、調停(conciliation)、審査(inquiry)がある。法律的紛争裁判手続きをとるが、政治的紛争に対して調停などにより処理を図ることとされる。即ち、国際紛争平和的処理を履行する上ではこれらの手に基づき国際司法裁判所国際海洋法裁判所などにおいて国際司法の判断を仰ぐか、或いは外交努力により解決するのが望ましい。しかし、紛争当事国原告として国際司法提訴した場合被告となる国が応訴なければ国際裁判として成立せず、この場合国際司法は国際紛争の平和的処理に十分な機能果たせない。これはそもそも国家国際司法における応訴義務批准しない限り国家裁判義務がないことによるのである日本などでは、憲法において自国国際紛争において武力の行使禁止するなどとしているが、その他の諸外国にあっては、けっしてそれら戦争違法化が徹底されていないことも国際紛争解決を困難としている。

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