国際救難
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/13 09:34 UTC 版)
大西洋では、NATO諸国が北大西洋条約機構潜水艦救助システムという、救難艇を共同利用する体制を構築している。 2000年から太平洋周辺の潜水艦を運用する国家の合同救難演習として、西太平洋潜水艦救難訓練(Exercise Pacific Reach、パシフィック・リーチ演習)が不定期で行われている。2000年の第一回はシンガポール、2002年の第二回の「パシフィック・リーチ2002」は日本がホスト国で東シナ海(カンファレーションなどは長崎県佐世保市)で行われた。第三回の「パシフィック・リーチ2004」は韓国の済州島沖で開催され、日本、米国、韓国、オーストラリア、シンガポールの5カ国が参加した。ただし、DSRVを運用している国は日米韓3カ国のみで、オーストラリアは潜水艦のみ、シンガポールは艦艇を派遣する予定だったが、最終的に人員のみの参加となった。オブザーバー派遣国はカナダ、チリ、中国、フランス、インド、インドネシア、マレーシア、タイ、イギリス、ベトナムの10カ国に達した。第四回はオーストラリアのフリーマントル沖合いで2007年に開催された。 海上自衛隊は第一回から第四回まで、全ての演習にDSRV搭載の潜水艦救難艦他の自衛艦を派遣している。第一回では米国海軍の救難装置が海上自衛隊の潜水艦「あきしお」SS-579から乗員を収容している。第二回では掃海母艦「ぶんご」を第2掃海隊群から借り受けて総指揮艦とし、各国の連絡士官も同乗。潜水艦救難艦「ちはや」、潜水艦「あきしお」、あめ型護衛艦2隻(海域警戒)、掃海艇 2隻(機雷用ソナーによる沈底潜水艦の捜索訓練)、艦載ヘリSH-60J 2機(艦艇間の人員輸送用)、MH-53E 1機(陸上との人員輸送用)を参加させた。本訓練中は、東シナ海が非常に時化た為、艦尾のAフレームクレーンでDSRVを出す方式の韓国海軍は全ミッションを実施できない中、方式は違うものの水中発着式の海上自衛隊と米海軍のDSRVは全ミッションを成功させた(ハッチを開けないソフトメイトの指示にもかかわらず、ハッチを開けるハードメイトまでおこなった回もあった)。第三回では潜水艦救難母艦「ちよだ」と潜水艦「ふゆしお」SS-588が参加し、「ちよだ」搭載のDSRVが韓国海軍の209型潜水艦「チェ・ムソン」SS-063(崔茂宣)に接合し、乗員3名の救出を実演している。パシフィック・リーチ演習では遭難艦へ接合できず救難に失敗する国も出る中、海上自衛隊は優秀な成績を示し、その救難能力は世界でトップレベルと評価されている。 また大西洋ではNATO主催で潜水艦救難演習Bold Monarchが開催されており、2008年にはロシア海軍を加えて14カ国(米、英、伊、蘭、加、独、土、仏、露、イスラエル、ウクライナ、ギリシャ、ノルウェー、ポーランド)が参加した。2008年演習は5月26日から6月6日にかけて北海で開催され、ロシア海軍の救難艦「チトフ」(RFS Titov)搭載のDSRV AS-34がオランダ海軍の潜水艦「ドルフィン」(HNLMS Dolfijn S-808)とノルウェー海軍の潜水艦「ウートハウグ」(HNoMS Uthaug S-304)から乗員救難を実演している。
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