周防灘干拓遺跡とは? わかりやすく解説

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周防灘干拓遺跡
高泊開作浜五挺唐樋
名田島新開作南蛮樋

名称: 周防灘干拓遺跡
 高泊開作浜五挺唐樋
 名田島新開作南蛮樋
ふりがな すおうなだかんたくいせき
 たかとまりかいさくはまごちょうからひ
 なたしましんかいさくなんばん
種別 史跡
種別2:
都道府県 山口県
市区町村 山陽小野田市西高泊山口市大字名田島
管理団体 山陽小野田市山口市平成15.09.30)
指定年月日 1996.03.28(平成8.03.28)
指定基準 史6
特別指定年月日
追加指定年月日
解説文: H5-12-11[[名田島]なたじま]新開南蛮.TXT: 干満差大きく遠浅海岸、特に湾入部で河口近く干潟発達した場所では、古来より干拓が行われてきた。有明海八代海瀬戸内海伊勢湾三河湾東京湾などはその代表的な事例である。瀬戸内海のうち、西端周防灘面した地域でも、積極的な干拓(この地方では開作とよぶ)が行われてきた。近世においてそれを実施したのは、主として萩藩長州藩であった
 まず高泊開作は、高泊湾を干拓したもので、寛文8年(1668)の汐止めによって完成した400町歩規模をもつ、領内における最大規模開作である。萩藩直営事業として当職萩藩国家老毛利就方発起し船木代官楊井春勝(三之充)が工事主管した汐止20年後の貞享4年(1687)には、有帆口、高須平原鳥帽子岩、山、横土手といった新しい集落が形成されており(厳島竜王社祭事神役割」)、享保19年(1734)編纂萩藩地誌地下上申』では、高泊開作石高4,449石余とある。
 この干拓規模大きかったため、排水樋門の数・形態にも年を追って変遷がある。すなわち当初有帆川澪筋干潟内の河川流路)に石壁土垣樋門をを設けたが、汐止めの2、3年後(寛文1011年)、これを廃し堤防西端八幡山麓を掘削してさらに2か所の樋門設けたそのうち1つ八幡山東麓の三挺唐で、安政4年(1857)山麓岩盤をさらに切り開いて五挺唐増設し、翌五年には排水口周辺の岩盤を除去して排水効率高めた。これが現在に残る浜五挺唐で、当時はこれを新石唐とよんだ(「普請要録」、唐とは招き形式によるを指すものであろう)。いま一つ樋門八幡山南麓の二挺唐であるが、太平洋戦争中米軍爆撃により破壊されている。
 名田島山口市南部、[[椹野川]ふしのがわ]河口部にあり、寛永3年(1626)に長妻開作慶安3年(1650)に慶三開作元禄3年(1690)に元禄開作が築立てられているが、後2者は萩藩長州藩)によるものである。
 この後元禄開作の沖に、同じく萩藩によって築立てられたものが、新開作(安永開作)で、安永3年(1774)9月に築立てられ同年12月汐止めされた100余町の干拓地である。
 現存する安永開作排水樋門は、三挺樋門、四挺樋門悪水樋門2基と堤防悪水溜等からなっている。樋門花崗岩加工した長方形石材積み上げた堅牢な石垣の間に、ロクロによる巻き上げ方式仕切板を設置したもので、当時招き扉)に対し、これを南蛮とよんだ。1日4回満干のつど、板を上下作動し汐止めと内陸部悪水排水行った。この仕事は藩より給付を受ける守人が行った。また海水が入ることを完全に遮断することは難しかったようで、ヒラサとよばれる悪水溜から各水田通じ排水路にも、小さな汐止めの招き扉が設置されている。また山口県文書館に「名田島開作絵図」が残されているが、樋門については四挺南蛮石樋等と記され、ほかに守固屋が画かれている。
 高泊の浜五挺唐名田島新開南蛮等は、近世周防灘における萩藩による開作干拓)の実態を示す貴重な遺跡であり、また切石積による精緻な構造は、当時土木技術到達点をよく示している。よってこれらを史跡指定しその保存を図るものである
 なお、高泊唐近年隣接地に新樋門建設され、また名田島南蛮大正12年(1923)、その沖合山口県干拓完成したことにより、樋門として機能することはなくなっている。
史跡名勝記念物のほかの用語一覧
史跡:  周布古墳  周防国分寺旧境内  周防国衙跡  周防灘干拓遺跡  周防鋳銭司跡  和台遺跡  和歌山城


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