向ヶ丘遊園地とは? わかりやすく解説

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向ヶ丘遊園

(向ヶ丘遊園地 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/29 05:37 UTC 版)

閉園直前の「さよならフェスティバル」開催中の向ヶ丘遊園入場門
(2002年3月23日撮影)
「花と緑の遊園地」として手入れされた園内は、四季折々の花々で鮮やかに彩られた。春にはの花で彩られる大観覧車があった。閉園後に解体。
(2002年3月23日撮影)
向ヶ丘遊園閉園後の「生田緑地 ばら苑」

向ヶ丘遊園(むこうがおかゆうえん)は、神奈川県川崎市多摩区長尾2丁目8-1で1927年(昭和2年)から2002年(平成14年)まで営業していた小田急電鉄系の遊園地

遊園地は閉園したものの、小田急小田原線の駅名「向ヶ丘遊園駅」や、近隣の店舗名やビル名などに名残が多々見られる。また遊園内にあった「ばら苑」は川崎市が「生田緑地 ばら苑」として管理を継承している。

歴史

  • 1927年(昭和2年)4月1日 - 小田原急行鉄道小田原線(現在の小田急小田原線)の開通と同時に開業する。当時は入園無料。
  • 1927年(昭和2年)6月14日、最寄り駅の稲田登戸駅(現在の向ヶ丘遊園駅)から豆汽車が運行される(その後、戦争により撤去)。
  • 1941年(昭和16年) - 近衛騎兵聨隊の駐屯地となる[1]
  • 1945年(昭和20年) - 陸軍より用地返還
  • 1950年(昭和25年)3月25日 - 向ヶ丘遊園駅からの豆汽車が豆電車として復活。
  • 1951年(昭和26年)7月28日 - 空中ケーブルカーを設置(正門 - 園内中央)。
  • 1952年(昭和27年)4月1日 - 有料化を実施。
  • 1955年(昭和30年) - ボート池完成[1]
  • 1958年(昭和33年)5月23日 - ばら苑開園。当時は東洋一の規模と評された。
  • 1962年(昭和37年) - 「防衛大博覧会」開催。地形を一変させるほどの大規模な土木工事を実施[1]
  • 1963年(昭和38年) - フラワーショー開始。以後、花に関係する各種イベントを継続して行う。花の大階段新設[1]
  • 1965年(昭和40年)秋 - 沿線道路の拡張により、豆電車が撤去される。
  • 1966年(昭和41年)4月23日 - 豆電車に代わり、向ヶ丘遊園モノレールが運行開始(向ヶ丘遊園駅 - 向ヶ丘遊園正門駅間)。
  • 1967年(昭和42年)12月14日 - 空中ケーブルカー廃止。
  • 1968年(昭和43年)3月15日 - 全長123 mの1人乗りフラワーリフトを設置。
  • 1976年(昭和51年) - 大観覧車を設置。
  • 1980年(昭和55年) - 宙返りコースター「スカイハリケーン」を設置。
  • 1985年(昭和60年) - ローラーコースターウォーターライドが融合したアトラクション「アドベンチャーコースター」を設置。
  • 1986年(昭和61年) - 開園60周年に合わせた園内の整備・拡張の一環で「メルヘンタワー」「フライング・スインガー」「ロックンロール」「スピンカー」「メリーフラワー」を設置[2]
  • 1986年(昭和61年)5月19日 - フラワーリフト廃止。
  • 1987年(昭和62年)2月5日 - 全長47mの屋外型エスカレーター「フラワーエスカー」を設置。
  • 1992年(平成4年) - スーパーローラーコースター「ディオス」を設置。
  • 1997年(平成9年) - 『快獣ブースカ』をテーマとした遊園施設「ブースカランド」を開設する。円谷プロとの協力で実現し、閉園まで存在する。
  • 1999年(平成11年)夏頃 - 特撮番組『ブースカ! ブースカ!!』のロケーション撮影が2000年4月頃まで行われる。
  • 2000年(平成12年)2月13日 - モノレールの運行を休止。この日より行われた定期検査で、モノレール車両(小田急500形)に老朽化による致命的な損傷が見つかり、運行再開を見合わせる。代替バスの運行を実施。
  • 2001年(平成13年)2月1日 - 同日付でモノレールを正式に廃止。
  • 2002年(平成14年)3月31日 - 営業終了。

名前の由来

向ヶ丘遊園が立地する長尾地区が、開園当時は向丘村(むかおかむら・むかいがおかむら→1938年(昭和13年)に川崎市へ編入)の一角だったために名付けられた。地名は「むかいがおか」と読むが、当園名は「むこうがおか」と読み、現在は後者が定着しつつある。詳しくは向ヶ丘 (川崎市)を参照。

施設概要

「花と緑の遊園地」としての特徴を持ち、園内にはばら苑やウメ園・温室スイセンツツジの丘など多くの樹木があった。特にソメイヨシノが多数あり、神奈川県有数の花見の名所であった。1987年には本格的なの展覧会も開催された。

また、宙返りコースターやプールなどの遊戯施設、鉄道資料館、運動場や楽焼体験施設、ミニ動物園なども存在していた。

主な遊戯施設
  • スカイハリケーン(往復式宙返りコースター)
  • アドベンチャーコースター(ウォーターコースター
  • ディオス(ローラーコースター
  • キディシャトル(子供向けローラーコースター)
  • ウォーターシュート(ウォーターライド)
  • サイクルモノレール
  • 大観覧車
  • ゴーカート
  • プール(冬季はアイススケート)
  • 手漕ぎボート、スワンボート
  • ちんちん電車

交通

小田急によって開発されただけに、運営母体の小田急にとっての「玄関口」であった向ヶ丘遊園駅からのアクセスが確保されており、戦前は遊園地まで「豆汽車」(当時は正門までだったが、のちに裏門まで延長されている[3])や「豆電車」、1966年からは小田急向ヶ丘遊園モノレール線で結ばれていた。

ちなみに豆電車やモノレールがない時代、園からの距離が最も近い最寄り駅は南武線宿河原駅であった[4]

跡地利用

藤子・F・不二雄ミュージアム(手前の柵)からみた「花の大階段」跡地。2022年撮影。

遊園地の閉園後、市民の要望を受けて川崎市が園内ばら苑の管理を引き継ぎ「生田緑地 ばら苑」として保全している。市民ボランティアバラの手入れなどを行い、春と秋(主に5月と10月)の開花時季には無料で一般公開を行っている。

小田急電鉄は2007年に、集合住宅を中心とした850戸の住宅開発を発表していたが、採算性の面から計画を白紙撤回していた[5]

2008年(平成20年)12月には、跡地の一部に川崎市立藤子・F・不二雄ミュージアムの立地が決定[6]2011年(平成23年)9月3日に開館した。

未開発の跡地内には「花の大階段」をはじめ、敷地の大部分は遊具を撤去した状態で残っているが、2018年に開発構想が再浮上した。

小田急電鉄は2018年11月30日、向ヶ丘遊園の跡地利用について、約162700m2の開発地域に、「自然体験エリア」(約39300m2)「商業施設エリア」(約29900m2)「温浴施設エリア」(約25600m2)の3地区を軸にした計画を発表した[5][7]。12月中に環境影響評価書を提出し、2023年度の完成を目標とする[5]

2019年3月28日の小田急電鉄ニュースリリースによれば、2023年度までに「人と自然が回復しあう丘」のコンセプトで竣工を目指すとしていた[8]

2023年3月、川崎市は2019年の水害で休館中の川崎市市民ミュージアムの移転先として、向ヶ丘遊園の跡地(市が小田急電鉄から譲受した区画で、現在はばら苑の臨時駐車場)を選定したと発表した[9]

脚注

  1. ^ a b c d 向ヶ丘遊園の経営史
  2. ^ 60周年近づく小田急・向ヶ丘遊園 新機種を導入、園内大改装」『ゲームマシン』(PDF)、第285号(アミューズメント通信社)1986年6月1日、6-7面。
  3. ^ 豆汽車・豆電車のお話 | New 向ヶ丘遊園メモリアル”. mukogaoka-yuen.sakura.ne.jp. 2025年5月29日閲覧。
  4. ^ Google Maps” (日本語). Google Maps. 2024年6月7日閲覧。
  5. ^ a b c 【向ヶ丘遊園跡地】商業・温浴 自然と調和した施設 2023年度完成へ タウンニュース多摩区版、2018年12月7日
  6. ^ (仮称)藤子・F・不二雄ミュージアム 基本構想 川崎市、2008年12月
  7. ^ 小田急/向ヶ丘遊園の跡地を商業・温浴・自然体験で再開発”. 流通ニュース (2018年12月4日). 2019年3月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年3月30日閲覧。
  8. ^ 4月1日(月) 「ナチュラル・レトロモダン」をコンセプトに向ヶ丘遊園駅をリニューアルオープンします』(PDF)(プレスリリース)小田急電鉄、2019年3月28日。オリジナルの2019年3月29日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20190329221529/https://www.odakyu.jp/news/o5oaa1000001hzr5-att/o5oaa1000001hzrc.pdf2019年3月30日閲覧 
  9. ^ “台風で浸水の川崎市市民ミュージアム 移転先は多摩区の生田緑地に”. 朝日新聞. (2023年3月12日). https://www.asahi.com/articles/ASR3C7JY9R3BULOB00H.html 2024年3月3日閲覧。 

関連項目

外部リンク

座標: 北緯35度36分32秒 東経139度34分19秒 / 北緯35.60889度 東経139.57194度 / 35.60889; 139.57194




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