同一説
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同一説(どういつせつ、英: Identity theory)は、心身問題に関する立場の一つで、心の状態や思考プロセスとは、脳の状態やプロセスそのもののことだ、という考え方のこと(英語圏では一般に "Mind is Brain" といった形で、be動詞を強調することによって同一説の持つ考えを提示する)。心脳同一説とも呼ばれる。心の哲学という分野において、物理主義(物的一元論)の一種として、二元論一般と対立する文脈で語られる。
関連項目
関連文献
日本語のオープンアクセス文献
- 米沢克夫「科学的唯物論と意識:心脳同一説の検討」『科学基礎論研究』第12巻第2号、科学基礎論学会、1975年、71-78頁、doi:10.4288/kisoron1954.12.71、ISSN 0022-7668、 NAID 130001433632。
- 鈴木登「クリプキの同一説批判」『哲学』第1984巻第34号、日本哲学会、1984年、173-183頁、doi:10.11439/philosophy1952.1984.173、 ISSN 0387-3358、 NAID 130003661145。
- 田所重紀「「空脳論」序説 : 新しいタイプ同一説の試み」『哲学・科学史論叢』第17号、東京大学教養学部哲学・科学史部会、2015年1月、17-39頁、doi:10.15083/00035844、 ISSN 13446185、 NAID 120005539363。
外部リンク
- Identity Theory (英語) - インターネット哲学百科事典「同一説」の項目。
- The Identity Theory of Mind (英語) - スタンフォード哲学百科事典「同一説」の項目。
- (文献リスト)Identity Theory (英語) - PhilPapers 「同一説」の文献一覧。
同一説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/12 08:42 UTC 版)
詳細は「タイプ物理主義」を参照 タイプ物理主義(ないしタイプ同一性説)はJ.J.C.スマート (J.J.C. Smart) とアリン・プレイス (Ullin Place) によって行動主義の失敗に対する直接の反応として展開されたものである。これらの哲学者は、もし心的状態が物質的なものであって、しかもそれが行動ではないのなら、おそらく脳の内的状態と同一ではないかと推論した。非常に単純化した言い方をすれば「心的状態Mは脳状態Bにすぎない」ということである。たとえば、「コーヒーを一杯ほしいという欲求」は「脳のある領域のあるニューロンの発火」以外の何者でもないということになる。 同一性説はちょっと見たところはもっともらしく見えるが、強力な反論がある。それはヒラリー・パトナムが最初に定式化した多重実現可能性のテーゼの形での反論である。人間だけでなく、いろいろなことなった種の動物が、たとえば痛みを感じるというのは明白である。しかし、同じ痛みを経験しているこれだけ多様な有機体が同じ同一の脳状態にあるとは非常にありそうになく思える。そしてもし彼らが同一の脳状態にないのだとしたら、痛みは特定の脳状態と同一だということはありえない。こうして、同一性説は経験的な根拠を持たないということになる。 他方、これをすべて認めたとしても、あらゆる種類の同一性理論を放棄しなくてはならないということにはならない。「トークン同一性」理論によれば、ある脳状態がある人のただ一つの「心的」状態と結びついているという事実は、必ずしも、心的状態の「タイプ」と脳状態の「タイプ」の間に絶対的な相関があるということを意味しない。「タイプとトークンの区別」は簡単な例を使って説明できる。「いろいろ」という言葉においては二つのタイプのひらがな(「い」と「ろ」)が使われているが、「い」というタイプの字も「ろ」というタイプの字もそれぞれ二回生起している(つまりそれぞれ二つのトークンを持つ)。 「トークン同一性」というのは、心的出来事の特定の「生起」(トークン)は物理的出来事の特定の「生起」(トークン)と同一というだけでそれ以上ではないという考え方である。非法則的一元論(以下を参照)と、その他の大半の「非還元的物理主義」の諸理論はトークン同一性の理論である。 これらの問題にもかかわらず、主にジェグォン・キムの影響のおかげで、タイプ同一性理論に対する関心も最近再び高まっている。
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