機能主義を捨てる
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 07:38 UTC 版)
「ヒラリー・パトナム」の記事における「機能主義を捨てる」の解説
1980年代後半、パトナムは機能主義及び他の心の計算理論への支持を放棄した。彼が考えを変化させた最大の理由は、計算理論では、心的内容の外在説についてのいくつかの直感的事実を説明することが難しいからだった。このことの説明はパトナム自身の双子地球の思考実験に示されている(後掲の言語哲学の節を参照)。彼はまた1988年にも、フォーダーによって一般化された多重実現可能性説に基づいて、機能主義批判論を展開した。パトナムによれば機能主義とは心的性質を機能的性質と同一視する薄められた同一説であるが、実際には心的性質は複数の機能的性質に対していろんなやり方で実現可能なのである。一つの万能チューリング・マシンの様々な状態によって同一の心的状態が履行されうるのである。 パトナムは機能主義を捨てたが、機能主義はその後も栄え続け、デビッド・マー、ダニエル・デネット、ジェリー・フォーダー、デイヴィド・ルイスといった様々な思想家によって多種多様な変種が提起されるに至った。機能主義は現代の認知科学の基礎づけに役立ち、今日の哲学において支配的な心の理論になっている。
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