機能主義と中範囲の理論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/02 03:37 UTC 版)
「ロバート・キング・マートン」の記事における「機能主義と中範囲の理論」の解説
彼をパーソンズと同じ構造機能主義に分類する学者もいるが、その見解は正しいとはいえない。マートンの、パーソンズと並ぶもう一人のハーバードでの恩師ソローキンはパーソンズ批判でも知られているし、マートンの弟子の一人グールドナーもそうであったことからも、そのことはうかがえる。グールドナーの出世作とされる『産業における官僚制』(1954)は、コロンビアの学位論文を基にしているが、指導教授マートンの影響を強く受けている。マートンの研究は、パーソンズの演繹的で幾何学的精神と好対照をなす、帰納的な精神をその特徴としている。パーソンズ研究で知られる高城和義東北大学元教授によると、「マートンは、師のパーソンズとは異なった志向をもち、マートンの弟子たちも激しいパーソンズ批判を重ねていったにもかかわらず、二人は生涯変わらず友好関係をつづけ、学問的協力関係を保っていった。このことは、充分に銘記されてよいと思われる」とのことである。 パーソンズは、社会的機能は社会構造の維持・安定に貢献するものでなくてはならないと考えたが、マートンは、社会的機能には既存の社会構造を揺るがす逆機能があることを指摘している。さらに、パーソンズがすべての社会に適用できる統一理論を目指したのに対して、社会調査による成果を元に、個別の事例と抽象的理論との間の橋渡しとしての「中範囲の理論」の必要性を唱えた。ただし、この「中範囲の理論」は、パーソンズの目指す一般理論を否定したものではなく、特殊理論を積み重ねていくことによって最終的には一般理論へ到達しようという、いわば過渡的な理論ということができる。ただし理論の説明自体は抽象的な段階に留まる。
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