大森荘蔵とは? わかりやすく解説

おおもり‐しょうぞう〔おほもりシヤウザウ〕【大森荘蔵】

読み方:おおもりしょうぞう

19211997哲学者岡山生まれ東大教授分析哲学から出発物心二元論批判して独自の哲学体系を築く。著作に「言語知覚世界」「物と心」「新視覚新論」「時は流れず」など。


大森荘蔵

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/05 08:20 UTC 版)

大森 荘蔵(おおもり しょうぞう、1921年8月1日 - 1997年2月17日)は、日本の哲学者東京大学名誉教授。

物理学から哲学に転向し、科学における哲学的問題の検証を目指した。物心二元論を否定し、独特の一元論による哲学体系を確立。著書に『言語・知覚・世界』(1971年)、『時間と存在』(1994年)などがある。

来歴・人物

岡山県生まれ。東京府立一中から第一高等学校理科乙類[1]を経て、1944年 東京帝国大学理学部物理学科を卒業。

1945年海軍技術研究所三鷹実験所勤務。当初は物理学を志すも、科学における哲学的問題を問うため、哲学に転向。1949年東京大学文学部哲学科を卒業する。はじめ現象学などを学ぶが、満足せずアメリカに留学。ウィトゲンシュタインの哲学や分析哲学をはじめとする現代英米圏の哲学から大きな影響を受ける。

帰国後、1953年、東京大学講師に就任。さらに留学後、助教授を経て、1966年、東京大学教養学部教授(科学史科学哲学科)。これまでの日本の哲学研究が学説研究・哲学史研究などの文献学に偏りがちだったが、「哲学とは、額に汗して考え抜くこと」という言葉のもと、60年代以降に大学で学んだ人たちに直接・間接に大きな影響を与え、野家啓一藤本隆志野矢茂樹中島義道ら現在第一線で活躍中の数多くの日本の哲学者たちを育てることとなった。1976年、東京大学教養学部長就任。翌年、辞任。1982年、定年退官し、同名誉教授、放送大学学園教授。1983年、放送大学副学長就任。1985年辞任。1989年同大学退職。

哲学

その哲学は、独自の「立ち現れ」から説く一元論が特徴である。心身二元論で把握された世界のうち、「物質」についての記述ばかりしてきた科学に対し、科学の言葉では「」を描写することはできないとする。そして日常世界と科学の世界は共存しうると大森は主張する。

「わたし」と自然との間には何の境界もなく、「わたし」の肉体とそれ以外のものに境界があるだけである。共に、「立ち現れ」である点で、私は自然と一心同体であり、主客の分別もない。
禅などに見られる「主客合一の無化」とは異なり、少なくとも、日常にはそういった区別が無い、ということである。あくまで、科学の可能性と限界を見極め、それとは異なる世界の眺め方を提案する。それが大森の哲学の大要である。

著作

書籍

共著
  • 『音を視る、時を聴く哲学講義』(朝日出版社、1982年/ちくま学芸文庫、2007年) - 坂本龍一との対話
  • 『哲学の饗宴―大森荘蔵座談集』(理想社、1994年)

大森荘蔵著作集

全10巻(岩波書店、1998-1999年)
  1. 前期論文集
  2. 前期論文集
  3. 言語・知覚・世界
  4. 物と心
  5. 流れとよどみ
  6. 新視覚新論
  7. 知の構築とその呪縛
  8. 時間と自我
  9. 時は流れず
  10. 音を視る、時を聴く

脚注

  1. ^ 旧制高等学校物語 第1 - 国立国会図書館デジタルコレクション

関連項目


大森荘蔵

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 04:16 UTC 版)

ゼノンのパラドックス」の記事における「大森荘蔵」の解説

大森は、「運動の時間的連続性ある限りゼノン論法避けることはできない。」と論じ続けて、「点運動とは矛盾含んでいる」、「幾何図形運動とは矛盾概念のである。」とする。従って、点運動にもとづくゼノン論法は、この矛盾として解消される物理学工学がこの矛盾から逃れているのは、それらが運動ではなく静止図を扱っている限りであるに過ぎないと言う。その点運動の逆理とは、点Xが動くということは同一の点Xが始めは点Aと同一で、終わりには点Bと同一である、と言うことである。この逆理は、点時刻概念によってもたらされる。それは、線形時間刻み目として考えられたもので、経験的実用時間の「基準となるように考えられ理論的時間のである。」「一言言えば、この理論的時間基本的自然法則成り立たせるように思考された時間である。...それ故科学理論の中では飛ぶ矢の逆理生きているはずである。」「科学に飛ぶ矢の逆理から激し症状起き可能性は常にある。」と言う

※この「大森荘蔵」の解説は、「ゼノンのパラドックス」の解説の一部です。
「大森荘蔵」を含む「ゼノンのパラドックス」の記事については、「ゼノンのパラドックス」の概要を参照ください。

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