同一言語内の同根語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/12 08:09 UTC 版)
同一言語内の同根語は二重語(doublet)と呼ばれ、意味が時に微妙に、時に全く異なるケースがある。例えば、英語のward(「区」「保護」など)とguard(「守る」)は同根語で、インド・ヨーロッパ祖語の*wer-(「つかむ」「見守る」)に由来し、shirt(「シャツ」)とskirt(「スカート」)はインド・ヨーロッパ祖語の*sker-(「切る」)に由来する。この後者の例のように、片方(skirt)はインド・ヨーロッパ祖語から別の近接言語を経由して英語に入った一方で、もう片方(shirt)は英語古来の語彙である、というケースもある。この例のskirtは英国のデーンロウ時代(9~10世紀)の古ノルド語からの借用である。 二重語の双方ともに外国語から入ったというケースもあり、同根語ながら移入の時期が異なることがある。例えば、chief(「リーダー」「長」)は中世フランス語のchef(「かしら」)に由来し、「チーフ」の音韻は中世フランス語の発音の「チェフ」を取り入れたものとなっているが、chef(料理人長)は同じフランス語ながらその数世紀後のフランス語に由来し、語頭の子音の発音も、その時期までに変化していたフランス語のshを取り入れて「シェフ」となっている。これと似たケースは、wain(「大荷車」、英語古来の語彙)、waggon/wagon(「四輪車」、オランダ語由来)、vehicle(「乗り物」、ラテン語由来)の関係性にも見られる。 ある単語が別の言語に入り、そこで別の語形や意味を獲得してから元の言語に再借用されて導入されるケースもある。例えば、ギリシャ語のκίνημα(kinima、「運動」「動き」)は、フランス語に入ってcinéma(「映画」)となり、後にギリシャ語に戻ってσινεμά(sinema、「映画」「映画館」)として取り入れられた。この場合、ギリシャ語ではκίνημα(kinima、「運動」「動き」)とσινεμά(sinema、「映画」「映画館」)は同根語(二重語)である。 英語のgrammarとglamourも同根語である。
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