各事業者の導入の歴史
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交通事業者によるプリペイドカードの例として、1985年に当時の日本国有鉄道(国鉄)がオレンジカードを発売したほか、他の交通事業者でも同様のカードが発売された。これらは乗車カードではなく、自動券売機に投入して乗車券を購入する金券方式のプリペイドカード(間接式)で、カードをそのまま自動改札機に投入することはできなかった。 路線バスにおける磁気バスカードは、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}1980年代以降、均一運賃制の路線での導入例があったが[どこ?]、本格的かつ大規模な導入例としては、1988年5月9日に神奈川中央交通が導入した「神奈中バスカード」が多区間運賃制では日本初のものである。システムは三陽電機製作所(現:レシップ)との共同開発で、のちのバス共通カードやPASMO・Suicaにおけるバス利用特典サービスにも引き継がれるプレミアム(割引)付きであった。その後、バス共通カードに統合されて発行終了している。これを嚆矢として各地のバス事業者でバスカードの導入が進んだ。 詳細は「神奈川中央交通#多区間運賃制路線では日本初のバスカード導入」を参照 翌1989年10月4日、奈良交通が磁気式バスカードを導入。多区間運賃路線についても導入した。バスカードが利用可能な車両には、神奈川中央交通と同様に丸い「バスカード」のマークを車両前面に装着しており、このマークがある車両のみで利用できた。 1990年には、長崎自動車が磁気式バスカード対応の自動精算式運賃箱を導入。翌1991年1月末までに全車で設置完了した。整理券に印刷されたバーコードを運賃箱で読み取り、バスカードから差し引く方式である。 なお、神奈川中央交通と長崎自動車のバスカード導入にあたっては、運輸省から「昭和63年度バス交通活性化補助」が交付されていた。バスカード導入で補助対象になったのはこれらが日本初の事例である。 鉄道事業者では、名古屋市交通局が1988年3月1日に「リリーカード」を発売、4月1日から名古屋市営地下鉄全線で使用開始した。ただしリリーカードで地下鉄に乗車する際は、カードを直接自動改札機に投入することはできず、自動券売機にリリーカードを投入して切符を購入する方式であった(オレンジカードと同様)。翌1989年9月10日の市営地下鉄桜通線開業と同時に、地下鉄回数券を磁気カード化し「回数券カード」となった。これが名古屋市営地下鉄では初となる、自動改札機に直接投入できる磁気式乗車カードである。リリーカードの利用は名古屋市営バスにも拡大され、1989年10月2日より基幹バス1号系統に試験導入、1991年10月1日には市営バス全線に導入された。バスでは運賃箱の磁気カードリーダーに直接挿入して支払可能であった。翌1992年には名鉄バスと共同運行する基幹バス2号系統で、リリーカードと名古屋鉄道の「パノラマカード」の共通利用が可能となった。その後、1998年5月6日にストアードフェア方式のユリカを発売したため発行終了している。 また1989年12月には、遠州鉄道の磁気式乗車カード「ETカード」がサービス開始した(ETは Entetsu Trafficの略)。ETカードもリリーカードと同様に当初は鉄道のみであったが、1992年2月20日には遠鉄バスにも拡大された。リリーカードと同じく鉄道では自動券売機で切符を購入し、バスでは運賃箱に直接挿入して運賃を支払う方式であった。後述のIC乗車カード「EG1CARD(イージーワンカード)」(2002年試験導入、2003年本格導入)および「ナイスパス」(2004年にEG1CARDから移行する形で本格導入)に伴い廃止されている。 1991年3月1日、東日本旅客鉄道(JR東日本)は、自動改札機に直接投入できるストアードフェア方式のイオカードを山手線内の一部の駅で利用開始し、その後首都圏の各駅に導入を進めていった。 1991年10月には、新潟交通で「バスカード」のサービスが開始された。同社のICカードバス乗車券「りゅーと」利用促進のため、2013年9月30日をもってサービス終了している。 1992年3月16日、福島交通は福島支社管内の路線バスで磁気式バスカードシステムを導入し、福島市中心部の特定路線で運用される専用の中型車で磁気式バスカードの利用が可能となった。2001年に郡山支社管内でバスICカードが導入された後も併存していたが、新バスICカード「NORUCA」に代替され2010年に廃止されている。
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