取り扱いと用途
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 08:31 UTC 版)
「和文タイプライター」の記事における「取り扱いと用途」の解説
この活字配列は決まっているものの、最低でも1000を越え、小型汎用機種でも大抵は2000を越える漢字を含む活字から、適切な文字を探して一文字ずつ打ち込んで行くため、かなりの技能が必要とされた。 作成した原稿は、印刷屋で写植印刷に用いられたり、青写真コピーでプリントされ、後には複写機も利用された。中には和文ライノタイプも存在し、長きにわたって、日本の官公庁における書類の作成や印刷業界の版下制作を支えていた。特に書類作成では、汎用型機の普及にもよって、学校などの公共機関や企業が内外の関係者に配布する書類や連絡文章の作成に威力を発揮し、1970年代以前においては手書きによる謄写版と並行して、事務用品としての一定の地位を得ていた。 しかし、活字を探し出したりと扱いが難しく、また文字の打ち間違いを後から修正することは困難で、横転させようものならバケット内の活字が皆飛び出して散乱してしまい、それを並べ直すだけでも専門の技術者を必要とするなど、持ち運びにも不便な上に作動音も大きく、1980年頃から次第に日本語ワードプロセッサーが普及するにつれ姿を消していった。 和文タイプライターの活字配列は、検定に使用する場合も含め、一般的に五十音順であったが、自衛隊ではいろは順であった。陸上自衛隊では1968年に文書科のタイピストとして女性の曹士自衛官を受け入れ隊内で検定を行ったが、活字配列が違うため退職後に民間に再就職する際は資格取得が難しかった。なお1980年代に廃止された後、任期満了退職者等以外は戦闘職種以外に転科させる措置があった。 1980年代以降、急速にワードプロセッサが低価格化で普及していく中で次第に姿を消していった和文タイプライターであるが、その過渡期の1980年に、沖電気からレターメイト80という日本語タイプライターを電子化した製品(同社の名称は「日本語電子タイプライター」)が発売されている。この当時の価格で185万円する機器は、黎明期にあった同年代の日本語ワードプロセッサよりも安価(1/3から3/5程度)で、日本語タイプライターの文字盤を入力機器として、付属で本体にケーブル接続された専用ペンでタッチすることで文字を選択し、入力することができた。また、入力された文章をミニフロッピーディスク(5インチディスク。当時の標準は8インチだった)にデータとして記憶することで、従来の和文タイプライターが苦手とする校正作業を行えるようになっていた。
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