反知性主義の登場と意味合いとは? わかりやすく解説

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反知性主義の登場と意味合い

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/04 06:36 UTC 版)

反知性主義」の記事における「反知性主義の登場と意味合い」の解説

ホフスタッターによれば反知性主義という言葉俄かに登場したのは1950年代、特にジョセフ・マッカーシーマッカーシズム赤狩り)や、1952年アメリカ合衆国大統領選挙背景したもの挙げられる。このアメリカ大統領選挙では、政治家としての知性キャリア家柄と、どれを採っても遜色なく、元弁護士弁舌の腕も立ち、知識人からの人気高かったアドレー・スティーブンソンが、第二次世界大戦中アメリカ陸軍参謀総長務めた戦争英雄といえど政治経験皆無で、およそ知的洗練さを表に出さず、むしろ政治家でないことをアピールして、大衆支持得たドワイト・D・アイゼンハワー圧倒的大差敗れており、反知性主義象徴的な出来事として挙げられる。またジョセフ・マッカーシーやその支持者達は、対共産主義という超えて大学教授知識人家系といった知識人層を攻撃したこのように反知性主義とは、反エリート主義言い換えといった側面がある。 1963年ホフスタッター著書アメリカ反知性主義』においてニューイングランド成立からのアメリカ史引用して反知性主義成り立ち考察し言葉登場した50年代より前から反知性主義存在し、むしろアメリカ社会政治体制において重要なのであること論じた。これによってホフスタッター2度目ピューリッツァー賞受賞している。 その語感より、しばしば誤解されるが、反知性主義対置するのは知性そのものというよりは、先述大統領選エピソードのように知的権威エリートとされる層である。データエビデンスよりも肉体感覚プリミティブ感情基準物事判断するといった面も間違いではないが、古く聖書理解において高度な神学的知識を必要と考え知的権威や、時代下がれば政治においてエリートによる寡頭政治志向する層への反感反知性主義原点であり、ただ単純に知性そのもの敵視する思想信条ではない。 むしろエリート層が軽視する大衆の「知性」を積極的に肯定するといった立場を採り、それは単純に近代合理主義批判肯定や、科学的思考軽視するという意味でもない歴史的に神意真理理解するのに高度な知識は必要ではない、政治において学術理論理想論先行して現実無視した政策行わないこのようなエリート主義対す批判という観点も含むのであるこのように反知性主義が必ずしも否定的な言葉ではないように、知的権威知識人エリートという言葉反知性主義文脈上では、必ずしも肯定的な意味ではない。ホフスタッターは、知識人立場として反知性主義者に攻撃される側として論説するが、序章において知識人迫害され憐憫対象として擁護する気はないと明言しており、その終章反知性主義ではなく知識人在り方考察するのである。 ただし反知性主義という言葉を定義付けたとされるホフスタッターでさえ、それが曖昧な語義の用語であることを認めており、単純に論敵非難するバズワードとして使用される場合も多い。

※この「反知性主義の登場と意味合い」の解説は、「反知性主義」の解説の一部です。
「反知性主義の登場と意味合い」を含む「反知性主義」の記事については、「反知性主義」の概要を参照ください。

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