原子力発電所と地域経済
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/17 07:50 UTC 版)
「日本の原子力発電所」の記事における「原子力発電所と地域経済」の解説
電源立地地域対策交付金(通称・原発交付金)などが、立地する道県や市町村の地方公共団体に交付される。 発電所の建設工事・定期点検・運転などでの雇用も多い。地域産業との結び付きが弱いという指摘もあるが、現実には職員や労働者の8割以上が県内在住者で占められているケースがほとんどである。また地元商工会と協力して地元企業の技術力向上や雇用促進を計っている発電所や、排熱を利用した農産物の早期栽培などを農家と共同で行っている発電所もある。 実際、多数の定住者や数百とも数千ともといわれる雇用効果、固定資産税や定住者の所得税などの税収、各種交付金、それらのもたらす商業の活性化や道路・体育館・防災無線など公共施設の充実等という非常に大きな効果がある。さらに原発の見学者による観光収入も見込むことができる[要出典]。 県レベルで核燃料税などの独自の税金を課す場合もある。財政の厳しい地方自治体にとっては「取りやすく取れる」所であり、特定業のさらに一分野に限られた租税というのは、税の公平性から疑問が呈されるものの、立地促進や地元協力という観点から受け入れられることもある。しかし、取りやすいからとさらに税額を増加させようとしたり新税を設置しようとして、国や電力会社と揉める場合も少なくない[要出典]。 過疎に悩む自治体にとって、電源立地地域対策交付金と固定資産税は大きな魅力であり、原子力発電所の立地が推進される。しかし運転開始後の固定資産税は、設備の減価償却に伴い年々減少していく。運転開始後10年・20年と経つと、自治体の収入が少なくなるので、地元は再び次の原子炉建設を誘致しないと税収を確保できなくなる。原子力発電所の集中立地が目立つ背景には、こうした交付金制度の存在がある。 こうしたことから、日本の原子力発電所は、茨城県北部、福島県浜通り、福井県嶺南敦賀半島に多く立地しており、これらの地域は「原発銀座」や「原発半島」とも呼ばれている。 経済産業省資源エネルギー庁はモデルケースとして、出力135万kWの原子力発電所(環境調査期間:3年間、建設期間:7年間、建設費:4,500億円)の立地にともなう財源効果を2004年に試算している。 下の表における項目A = 電源立地等初期対策交付金 B = 電源立地促進対策交付金 C = 電源立地特別交付金 原子力発電施設等周辺地域交付金 D = 電源立地特別交付金 電力移出県等交付金 E = 原子力発電施設等立地地域長期発展対策交付金 F = 固定資産税 立地市町村等にもたらされる電源立地地域対策交付金や固定資産税年次事項ABCDEF合計1年 環境影響評価開始の翌年度 5.2億円 - - - 5.2億円 2年 3年 4年 着工 20.3億円 27億円 52.5億円 5年 13億円 65.5億円 6年 7年 16億円 54.5億円 8年 9年 8億円 46.5億円 10年 運転開始 3億円 36.5億円 11年 - 4.5億円 2億円 63億円 77.5億円 12年 3億円 54.1億円 69.6億円 13年 46.3億円 14年 39.8億円 55.3億円 15年 34.1億円 49.6億円 16年 29.3億円 44.8億円 17年 25.1億円 40.6億円 18年 21.6億円 37.1億円 19年 18.5億円 34億円 20年 15.9億円 31.4億円
※この「原子力発電所と地域経済」の解説は、「日本の原子力発電所」の解説の一部です。
「原子力発電所と地域経済」を含む「日本の原子力発電所」の記事については、「日本の原子力発電所」の概要を参照ください。
- 原子力発電所と地域経済のページへのリンク